コロッセウム
コロッセウム
Side 加藤 佳一
シェリフが乗る改造パトカーの先導の元、コロッセウムへと向かう。
この近辺に長年住んでいるだけあって土地勘が効くらしく、車両で通れて出来るだけ安全な道を選んでくれた。
そう、出来るだけ安全な道だ。
時折野盗連中が襲い掛かってきたりとかした。
パワーローダーを身に纏っている連中で、マヤ曰くジャンクアーマーと呼ばれる部類の、パワーローダーを廃材で補修、もしくは外観を整えただけの見てくれだけは恐そうな奴だ。
特に大したことはなかった。
中にはバット片手に生身一つで戦車突っ込んできたりとか「バカじゃねえのか?」とか思ってるウチに戦車の攻撃で死んだが――
殺して身包み剥いで使えるもんを出来うる限り拾ったらそこら辺にポイ。
馴れないもんだが、この世界に生きて行くには仕方のない通過儀礼だ。
出来るとすれば何処かへ適当に埋めておくぐらいだ。
墓標代わりに銃やら持ち物やらを置いておくが誰かに取られて再利用されるんだろうなとか思いつつその場を後にした。
☆
昼時にコロッセウムに辿り着けたことは辿り着けた。
コロッセウムと言うのは巨大な野球ドームか何かを根城にして発展した町のようだ。
防備も頑丈でホープタウンのようにバリケードが設置されているだけでなく、タレットが彼方此方に配備されている。
そんなコロッセウムに辿り着けたのは良かったのだが・・・・・・
『戦闘中じゃねーか!!』
俺はウォーバイソンのパワーローダーを殴り倒して銃口を装甲の隙間につっこみ、引き金を引く。敵のパワーローダーの彼方此方から赤い液体が漏れ出す――銃弾が内部で跳弾しまくって中に入っている柔らかい人体をズタズタにしたのだろう。どうなったかなど考えるまでもない。
(ともかくこいつらどうにかしねーと交渉どころじゃねーぞ!?)
敵も味方もパワーローダーや戦闘車両(戦車含む)だらけの真正面からの殴り合い状態だ。
コロッセウム陣営は戦い馴れているのか統制が取れた動きをして防衛戦に徹している。ホープタウンとは装備の質も練度も違う。
『ヒーハー!! コロッセウムよ!! そろそろファイアスターター様の軍門に降るつもりはなったか!?』
などと武装が施されたピックアップトラックの荷台部分の上でカスタムされた赤色のパワーローダーが両腕から火炎を放射してコロッセウムに降伏勧告を行っている。
頭部はガスマスクフェイス。
全身の彼方此方に兵器類を搭載している。
強そうと思うよりも誘爆とか恐そうだなとか思った。
『誰かするか!! いいかげんしつこいんだよ!!』
と、コロッセウム側の指揮官らしき男――二本角で一つ目の緑色のパワーローダー。自分の身の桁よりも大きな剣――クレイモアを持っていた。
騎士と言うより、ローマの剣闘士のような印象を受ける。
(ともかくやる事は決まったか――)
そう言って自分の体が身に纏っているSSー15を動かす。
指揮官を撃破、あるいは撃退してこの場を収束させる他ない。
『ヒーハー!? なんだあのパワーローダーは!?』
俺は手に持った武器で戦闘車両――と言っても民間車両にプレートをくっつけてデタラメに武器を乗せただけの粗悪品だが――を撃破していく。
パワーローダーの質も野盗連中よりかはマシレベルだ。
戦い馴れているだけであまりパワーローダーでの接近戦は経験してないのか近接武器で殴り倒せば思いのほか簡単に無力化(撲殺とも言う)出来る。
距離が離れた敵はマヤが『させるか!!』と戦車の砲撃などで撃破してくれる。
シェリフさんも支援してくれた。
『なに? ホープタウンからの援軍? 野郎ども!! あのパワーローダーに続いて切り込め!! あの火遊びピエロにトドメを刺せ!!』
コロッセウム側の指揮官も状況を把握できたのか俺の支援に回ってくれるようだ。
戦闘車両やパワーローダーが次々と援護に来てくれる。
コロッセウム側のパワーローダーは軍事モデルを中心に近接特化のカスタム型らしき物が多い。
次々と格闘戦に持ち込んで敵のパワーローダーや戦闘車両を一気に討ち取っていく。
そうこうしていくウチに撤退していった。
☆
俺はシェリフの誘導の元、戦車の来客者用の格納庫と言うなのスタジアムの地下駐車場に案内された。
そこでは戦車やパワーローダーなど様々な物があったり、先の戦闘で壊れた車両やパワーローダーなども運び込まれていたが概ね人の喧噪で活気づいていた。
「シェリフさんはこれからどうするんですか?」
『ちょっとの間滞在して、必需品を買い込んだら元の場所に戻るさ』
「そうか。また尋ねるよ」
『その時は喜んで歓迎しよう』
入れ替わりにマヤとナナがシェリフと言葉を交わしにいく。
そして後ろから誰かに呼び止められた。
「よう。お前がホープタウンの人間か?」
「は、はい・・・・・・」
小麦色で大柄なスキンヘッドの男で眼帯をつけてマントを羽織っていて筋肉が凄い。世紀末を拳一つで渡り歩けそうな風格を感じる。北○の拳に出ても違和感はなさそうだ。
傍にいる男二人も屈強な体格をしている。
「わーなんか凄い人きたね~」
ナナの相変わらずその場の空気を読んでないような率直かつ拍子抜けした感じの言葉は俺の気持ちを単純化して代弁してくれた。
「ど、どうも、加藤 佳一です。ホープタウンの代表者のメッセージを持って来ました」
「ナナです。同じくホープタウンから来ました♪」
「こらナナ・・・・・・同じくホープタウンから来ましたマヤです――と言うかこの人はもしかして――」
「おう。コロッセウムの代表者のグレイだ。まあよろしく頼むわ」
そう言ってグレイは腰に手を当てて大げさに「ガッハッハッハッハッハッ!!」と大袈裟に笑いはじめた。
「まあホープタウンからのお願いってのはアレだろ? ウォーバイソンが調子乗ってるから一緒に手を組んで潰そうぜって話だろ? 安心しな! 俺達は既にもうウォーバイソンと戦争状態だ! 分け前は敵から分捕ればいいだけの話だしな!」
「ねえケイイチ。何か物凄く早く話が済んじゃったけど」
ナナの言うとおりだ。
俺も「ああ、うん。そうだね」としか言いようがなかった。
「まあそう言う話は後だ。今は兄ちゃんに違う儲け話を持ってきたんだ」
「も、儲け話?」
何だか嫌な予感がしてきた。
「兄ちゃんパワーローダーの腕が立ちそうだし、ウチが興行しているパワーローダーのバトルに参加してみないか?」
ほら、イヤな予感があたっちゃった。
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