まや
Side 名無しの少女
まやのお家に泊めてもらうことになったの。
ウンドウジョウに沢山ある建物の一つでシャワーとかトイレとかあってロボットたちと一緒に暮らしてているんだって。
ホープタウンの外にあった建物と違って狭いけど賑やかで楽しい。
「ねちゃったね」
あの人――カトウ ケイイチはマヤが「急だから今日はソファーで寝てくれ」と言われてもう寝ちゃったの。
「疲れが溜まってたんだな」
と、マヤが言った。
「やっぱり?」
「うん。本当に何処で生活してたんだろうな。過酷な外の暮らしに慣れてなかったんだろう。そっとしておいてやろう」
本当にお疲れ様。
いつもいつも私の変わりに難しいこと考えてくれてありがとう。
お礼したいけどどうすればいいのか分からない。
だから私は「ありがとう」としか言えないの。
「ねえねえマヤはどうして私達の面倒を見てくれるの?」
「こんな時代だからな。それに寂しかったかもしれないからな。余所ではどうかは知らないけど私ぐらいの年齢になると一人前・・・・・・いや、一人前にならなきゃいけないんだ。みな自分のことで手一杯。明日の飯より今日の飯が重要なんだ」
「うーん難しくてよく分かんないけど、マヤの生活大丈夫なの?」
そう言うとマヤは表情を曇らせた。
「正直言うと賢い選択じゃないのは分かってる。だけど・・・・・・ただ生きるのに疲れてきたんだ」
「ホープタウンって生き辛い場所なの?」
「このままだとな。みんあ明日の不安に負けないために精一杯出来る範囲のことで頑張っている。市長も警備隊長も今を変えようと頑張ってる」
「不安でいっぱいいっぱいなんだな」
「そうだな・・・・・・」
マヤは続けてこう言ったの。
「もしも変えられるなら。こんな今を変えたい。戦車を作ったのは趣味もあるけど、今を変えていい明日を迎えたいから」
「ケイイチと一緒で色々と考えてるんだね」
そう言うとマヤはジッとケイイチを見詰めた。
「・・・・・・ケイイチはどういう奴なんだ」
「マヤと同じだよ」
私はすぐに答えた。
「なんだかんだ言って自分以外の人を考えられる偉い人なの」
と、私は自信を持って言えた。
するとマヤは「そうか・・・・・・」と返した。
「みんなみんな、ケイイチやマヤみたいに他の人の事を考えられるようになればいいのにね」
「それは難しいんじゃないか今の時代」
「それは分かってる。だからこそそう願うの。マヤみたいに。ケイイチならどう言うのかな?」
「さあな。まだ素性は詳しくは知らないけど、ナナみたいに悪い奴じゃないんだろう」
「そうか。嬉しい・・・・・・ん? ナナ?」
「名無しって言うのも変だろう? だから名前はナナにしとけ。名無しを名乗るよりかは名無しを省略したナナの方がマシだろう」
「そうだね。じゃあナナでいいか。明日ケイイチに教えてあげよっと」
私はその時が来るのを今から待ちきれなかった。
やっと名前が出来た。
「・・・・・・お前の相棒は大変だったろうな」
マヤはにがそうな顔をしてそう言う。
他の人から見てもそう思われるんだ。
どうしてだろうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます