第3話 20年の時間

沼が見つかってからも毎日好きな事をやって仲間と集まってはバカな事をしたりあの時は永遠とそんな時間が続くと思ってたが…当たり前だがそれぞれ自分の仕事に打ち込んで責任の有る立場になったり結婚して自分の家庭を持ったり、ブレずに自分の生き方を通す奴も居れば、突然行方不明音信不通になる奴も居たりでそれぞれ時間が経つにつれて自分の人生を歩んで段々と会わなくなり連絡もたまにしか取らなくなって行った。そんなおれも10年経てば結婚して15年経てば会社と言えないが個人で起業し自営する事になって忙しくなり昔つるんでた仲間とは数人としか年に数回連絡しなくなっていたしアニキの店にも行く事が少なくなっていた。考えると寂しい気持ちも有るが今の生活も大変だが充実して幸せだと思ってた。気が付けば歳も40になり更に先の事を考えるようになり、今まで個人でやりきれなくて断っていた仕事も受注する為に会社として設立して人も雇い入れ資材置き場とする土地も買う為に借り入れし事業を拡大する準備をする矢先の出来事だった…今まで協力者として信頼していた仲間から裏切られ仕事を全部奪われた上に新しい案件を取れば幸い後遺症は残らなかったが頸の骨を折るケガをして半年間仕事出来ない状態になった。復帰してもそれだけ休業すると新しい案件は取りづらい…生活費や家のローンに借入れた借金、保険では賄えず少ない貯金もスグに無くなり気が付けば更に借り入れ返す宛も無くなり全部で5千万位必要な状態になっていた。おれは精神的にかなり追い込まれ気が付けば何か霊的な物のせいにするようになりせっかく来た仕事も放り占い師や霊媒師に相談したり頼るようになって行ったが当たり前のように効果は無く自分で更に首を絞める行動だった。どうにもならなくなったおれは家に居るのも辛く返せないのに借りた金で昼間はパチンコや漫喫で過ごし夜は飲み屋で時間を潰す日が続き(朝起きたら死んでねーかな…………)と思うようになって居てもう借りられる金も無く最期の金で競艇に行き当然の様に負け自殺する勇気も無いし家に帰る勇気もなく車の中で公園の駐車場でぼーっと車の中で呆けている事しか出来なかった。そんな時フと思い出したのが『沼』あそこしか無い!良いじゃないか!?願い事が叶う?帰って来れない?どっちも最高じゃないか!!気が付けば日が暮れてるにも関わらず一心不乱で沼に向かっていた…………暗闇の中転んで泥だらけになりながら20年前に行った道を進み沼にたどり着き20年で色んな事が変わったが沼は変わらずひっそりと水を満たして月明かりに静かに照らされていた。おれは沼に「何とかしてください!金が必要なんです!!ダメなら引きずり込んでくれ!」と叫びポケットに入っていた小銭(全財産)を水面に投げ入れた。すると…まぁ普通に何も起こる訳が無い。疲れたおれはソコに座り込んでぼーっと水面を眺める事しか出来なかった。そのうち最近ロクに寝れて無かったせいか眠くなり(あぁ……こんな所で寝たら……落ちたらソレで良いか…………)と寝てしまった……

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