闇乃 影司のハーレム事情

 Side 闇乃 影司


 闇乃 影司はふと思う。


 自分の女性関係どうなってしまったんだろうと。


 二年前までは本当に不幸だった。


 愛する人を何人も失った。


 だから女性関係がゆたかになった現在、再び失う事を恐れて女性達と距離感を取ることにした。


 しかし影司の心は肉体的戦闘力に反して脆弱さを抱えていた。

 少なくとも寝る時、必ず悪夢を見る程には。

 

 安心して寝るためには誰かと一緒に同衾するのが手っ取り早い解決方法だ。

  

 一時期は同性同士で寝てた時期もあったが、現在は女性が傍にいてくれる。


 もっともセフレとかそう言うダラしない関係でお茶を濁し、女達を遠ざけている。


 いや、嫌われようとしている努力している節すらあった。


 だが現在、世界一の脅威は女性だけでなく老若男女様々な人々を魅了する存在となっていた。


 

 闇乃 影司は大富豪が所有する人工島に来ていた。


 科学の発展という奴は凄い。


 今や人類の生存権は外宇宙にまで進出を初めて大航海時代を迎え、一方では異世界にまで交流の窓口が開きつつある。


 裏の世界では平行世界にまで及んでいた。


 それ程の英知を持った人類社会、大金持ちがプライベートのリゾート島を人工的に作り上げるなどワケもなく出来た。


 そこに魔法などの異能力なども絡めばより完全な理想郷と言う名のプライベートリゾート施設が出来上がる。


 更に美少女達を放り込めば、某格闘ゲームの美少女キャラクター達が集まってエロイ水着してビーチバレーしたりするあの島の出来上がりだ。

 

「俺・・・・・・この島でもゆっくり出来ないのかな・・・・・・」


 すっかりハーレムルート確定している状態の闇乃 影司はボーとしながらビーチバレーボールの試合を眺めていた。


 ちなみに影司の水着は黒い胸元を覆うタンクトップとホットパンツの組み合わせ。

 絶世の美少女的な容姿と相俟ってとても似合っていた。


 眼前ではリンダ・アイゼンバーグ、ジュディ・ライアーの金髪爆乳コンビ。


 表向きは宮園財閥のご令嬢、宮園 恵理の”妹となっている”宮園 藍に女スパイ、ミサキ・ブレーデルがビーチバレーを行っている。


 裏社会のフィクサー、イザベラ・ペンテシレイアは日光浴を楽しんでいる。


 自分が悪いのか、相手が悪いのか良く分からない。  

 なんだかよく分からないうちにハーレムラノベ的な状況になってしまった。



 それから昼食、夕食を終えて一休みを入れて部屋のベッドに行くと待ち構えていたのは宮園 藍だった。


 長い黒髪。

 目鼻立ち整った顔立ち。

 120cmの爆乳。

 それでいながらバランスよく整った体付き。


 宮園 恵理と双子の姉妹にしか見えない。


 何しろ宮園 藍は一度影司が恋した相手、宮園 恵理のクローン人間であるからだ。


 説明は省くが、宮園 藍のクローンモデルとなった宮園 恵理は因果律レベルで特殊な存在であり、それを知っている犯罪組織がその特異性に目を付け生産したのがこの宮園 藍なのだ。

 

 遺伝子レベルだけでなく、脳から記憶や手癖までコピーペーストしているのでもはや「パーフェクトクローン」と言っても過言ではない存在なのである。


 藍はそんな自分の出自に戸惑い、そして影司は藍への気持を「恵理への変わりではないのか?」と戸惑った時期もあった。

 そんな影司の気持ちにも反発したりもしたが今はこうして向き合うことが出来るまでになった。


「藍か・・・・・・」


「お疲れね」


「まあな」


「他にも儚美 亜輝ちゃんや月野 薫ちゃんも誘いたかったんだけどやっぱり顔合わせ難いんだってさ」


「かたや妹を死なせたり、かたや俺に復讐されて同然の人間もいるからな・・・・・・無理に仲良くしてギクシャクするぐらいならいっそ関わりを断つのも――」


「ダメ、そう言うのは。前に進むためにも逃げちゃダメだよ」


「とは言うが、もうそう言うイベント済ませてあるんだけど」


 お互い泣きながらの心中暴露大会だった。

 怯えて、緊張してぶつけ合った。

 だからもう終わっているのだ。


「だけど私は二人とも仲良くしたいし・・・・・・リンダちゃんやジュディちゃんとも一緒に家庭築くかもしれないしね」


「君もどうしてそんな理解力あるのかな? 俺は何時の間にキモオタ小説の世界に迷い込んだのかな?」


「女の子は影司の想像以上に強いのよ?」


「らしいな・・・・・・」


 ハァとため息をつくほかなかった。

 これが神様が与えた罰と言うのならこれ程効果的な罰はないだろう。

 何しろ下手な反論は許されないのだから。


「それはそうと部屋移動するわよ」


「え? どこに?」


「女子会するのよ女子会。影司も交えて。影司の女装コスプレ姿見てみたいし」


「それは女子会じゃなくて俺の公開処刑じゃないのか?」


「細かい事は気にしない」


 そう言って藍は影司の手を引っ張っていく。

 

 どうやら夜は色んな意味で長くなりそうだった。


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