第24話 告白
「俺もさ、 話したいことあるんや」
「あ、 ごめん。 話したいことがあって来たんだよな」
たっちゃんは恥ずかしそうに襟足を乱暴に掻いた。
「俺な、 この前告白されたんよ。 小川って…… 覚えとる?」
なんだよ、 自慢かよ、と笑いながらたっちゃんは頷く。
「小川ナツミだろ? じゃあ今付き合ってんの?」
さっきまでの深刻な雰囲気を払拭するようにたっちゃんは明るく応えた。
「ううん。 断ったんよね」
「へぇ。 そっか……」
俺は、 気付かれないように深呼吸する。
「たっちゃん。 俺はずっとたっちゃんに会いたかった。会って確かめたかった。
で、 やっぱりそうだって確信した。 俺はたっちゃんが好きだ。
たっちゃんとこうやってまた会えてから、 ずっと気持ちが溢れてる。
だから、 本当に会えてよかった。 ありがとう」
俺の心も声も手も瞳も、 たっちゃんへの好きがほとばしっている。
「俺も、 ひぃと久しぶりに会えてよかった」
たっちゃんはすっぱりと言った。 俺は自分の指先に向けていた視線をたっちゃんの目もとに移した。 たっちゃんは真っすぐに俺を見ていた。
「たっちゃんはさ、 俺の中で今も昔も憧れと言うか、 特別な存在で。
小学校の頃はみんなから好かれて、 男らしくて、そんなたっちゃんが友達で、 俺は誇りに思ってたよ。
それが急に会えなくなってさ。 自分では、 仲が良かった分こんなに寂しいし、 何度も思い出すんやろうなって思ってた。
けど、 高校に入ってからさ、 たっちゃんに雰囲気が似たイチノセってやつが出てきて、 そいつの事がすごい気になるようになって。
俺、 今もそうやけど彼女欲しいとか思ったことないんよな。 だから小川も可愛いし、 いい子だと思ってたけど付き合うのは違うなーって考えた時、 イチノセが……男子なんやけど一番しっくりきてしまって。 でもそれを問い詰めていくと、 俺がずっと想ってたんはたっちゃんやったんやって」
体の震えが止まらない。 本当の事を伝える恐怖が冷たく首筋を這う。
たっちゃんごめん。
こんなの急に言われたら動揺するし、 気持ち悪いよな、 って相手の気持ちを汲み取った言葉を言うのが一番いいのかもしれない。
でもこの俺の決心とたっちゃんの答えを浅い気遣いで流したくはなかった。 たっちゃんなら向き合ってくれる。 ほんと、 我がままでごめん。
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