えぐる男〔推理ミステリーホラー〕

 一人の男が自宅のアパートで死んだ。

 刃物で体中を、えぐるような悲惨ひさんな死体の状況に当初は事件と自殺の両面からの捜査が行われていたが。

 怨恨や外部からの侵入者の形跡もないと分かり、どうやら死亡した男性は自殺の可能性が濃厚になってきた。


 飛び散った血痕が、どす黒い染みとなって広がる部屋。

 男が自殺した部屋に、二人の刑事が合鍵を借りて入った。

 自殺した男が発見された室内を改めて見て、上品そうなスーツ姿の年配刑事が呟く。

「しかし、わかりませんね……なぜ彼は、あんな残酷な方法の自殺を選んだのでしょう……自殺をするなら、もっと楽な方法の選択もあったでしょうに?」


 相棒の若い刑事は、自殺した男性の近くにあった。

 あるページが開かれた血痕が残る【人体図鑑】をしゃがんで眺める。

「遺体の検視結果では、特定の臓器部位ではなく。

体中を刃物でえぐったコトの臓器ショックと大量出血が死因らしいですね。

彼はいったい何を『体の中からほじくり出そうと』していたんでしょうか?」

「謎です」



【解説】このストーリーには、作者が考えた結末以外の別の結末も存在します。

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結末ヒント・開いてあった、人体図鑑のページ

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