地球の大気には猛毒が含まれています〔SFホラー〕
ある日、突然──大型宇宙船が地球に、ゆっくりと着陸してきた。
宇宙人は姿を見せなかったが、テレパシーで人類にメッセージを伝えてきた。
《地球のみなさん、はじめまして……我々には敵意はありません、みなさんと友好関係を結ぶために。遠い星からやって来ました……みなさんの魅力的な音楽に我々は魅了されました、
宇宙人は地球のラジオ電波を受信して、そこから聴こえてきた音楽に感銘を受けたと、テレパシーで熱く語った。
《地球の音楽は素晴らしい……我々は、地球を代表する方々との会談を望んでいます……会談の日程は、地球の方々にお任せします……我々に敵意が無い証明に、我々が持っている科学技術や知識を無償で提供しましょう》
宇宙人から提供された科学技術は、地球では理論的には実現可能だったり、研究開発中だったり、空想段階の科学技術だったりしたモノばかりだった。
地球側は、さっそく各国の代表団を結成して。宇宙人の宇宙船での会見に望んだ。
宇宙船に入ると、姿を見せない宇宙人がテレパシーで言った。
《直接、お会いする前に。安全に会談するために……我々にとって害がある地球のウィルスや、毒物を除去しますので……少し、その部屋で待機していてください、すぐに終りますから……地球の大気には毒が含まれているようです》
各国の代表者が集まった密閉された室内で、会談に不都合な毒物を除去する作業がはじまった。
数十分後──室内の毒物が除去された部屋のドアが開いて宇宙人たちが姿を現した。
「お待たせいたしました、地球の大気に含まれていた毒物はすべて排除されました……地球のみなさん、はじめま……アレっ?」
部屋の中には倒れて絶命している、各国の代表者たちがいた。
「アレっ? アレっ? やっぱり、地球の大気には猛毒が含まれている……大変だ我々の科学力で、地球の大気に含まれている大量の毒素を除去してあげよう! 地球人を守るために!」
宇宙船の大群が地球に押し寄せ、地球の大気をクリーンにする除去作業が開始された。
そして、地球の動植物は滅んだ。
【説明】太古の地球には長い間『無酸素の時代』があった、その無酸素の時代にも酸素を必要としない生物は存在していた。
やがて、海中で酸素を放出する生物が現れ無酸素生物は、酸素が届かない場所へと逃れた。
無酸素生物にとっては酸素は【猛毒】……酸素を必要としない種類の宇宙人が言った。
「地球の大気に含まれる毒」とは?いったい?
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