第4話

神竜しんりゅうのいる洞窟は、比較的小さい。

通路?廊下?まあ、そんな感じの所を行くと扉があって、そこを開ければ神竜しんりゅうが普段んでいるところに辿り着く。

んでいるところは普通に広い。

まあ、竜の体は大きいから、最低限の広さでもかなりの広さになるんだろうけど。

「え~っと、確かこれをこうしてこうすると……よしっ開いた。」

神竜しんりゅうさんのみかにある扉は、かなり簡単に開く。

魔力を流して、鍵のようにして、スイッチを押し、魔力の形を保ったまま鍵を回す。

魔法を扱えるものならば誰でも開けられるのだ。

セキュリティー大丈夫か?って思うけど、何回この国の帝国騎士団が捕獲に来ても扉は簡単に開けられるから、特に神竜しんりゅうさん的には思うことはないんじゃないかと、私は勝手に思っている。

「お邪魔しま~す…。」

世界最強の四竜さんの一人(一匹?)に会うので、流石に緊張する。

命が惜しいとか、そういうわけじゃなくて。

ただ単に四竜に会えるということが嬉しくて緊張してるのだ。

ほら、あるでしょ?憧れの人に会うときに緊張する、とか。

そういう感じ。

「ん?ん~?まぁ~た騎士団が来たの~?もう来ないでって言った気がするのだけど…。どうだったかしら?」

奥の方から、大人の女性の声がした。その声には呆れや諦めが含まれている。

「あ、いや、私は騎士団とかじゃなくて、個人的に来ただけなんですけど…。」

とりあえずそう返事をしておく。

というか、騎士団のこと、迷惑してたんだなぁ…。

まあ、あんな毎日午前午後に一回ずつ来られたら、私だったら呆れてしまうし、迷惑だ。神竜しんりゅうさん的にもそれは同じだったらしい。

「あら?あなた……聖女ね?しかも白銀プラチナじゃない。珍しい。」

神竜しんりゅうさんは、大人な声がよく似合う女の人の姿で現れた。

というか、光輪だけで分かるなんて、流石神竜しんりゅう…。

普通は光輪だけではランクの見分けがつかない。

ランクが高いか低いかぐらいは光輪の大きさから推測すいそくできるものの、魔力量がかなりあるものでないと、ランクまでは見抜けない。

「それで、さっきから何の返答もないけど…どういった目的で私のもとにいらしたのかしら?力試し?研究?捕獲ほかく?」

神竜しんりゅうさんは呆れた雰囲気ふんいきで言う。

「あ、いえ。私はただ、世界最強と言われる四竜の方々がどんな方なのか見てみたくて…。それで、一番近い神竜しんりゅうさんからおたずねした次第です。」

そうやって本心を伝えると、神竜しんりゅうさんはとても驚いた顔をした。

「へぇ…。そんな子がいるのね…。驚いたわ。今までそんな子見たことも聞いたこともなかったもの。」

神竜しんりゅうさんは途中から、好奇心満載こうきしんまんさいの笑みをたずさえて言う。

いや、そんな顔で見られましても…。

思わず苦笑いをすると、神竜しんりゅうさんの顔はおだやかな笑みに変わった。

「そんな怖がらなくてもいいじゃない。私、怖がられるのはもう御免ごめんなのだけれど。」

神竜しんりゅうさんは少し寂しそうだった。

「すいません。怖がってるつもりはないんですけどね。」

そう言って少し笑うと、神竜しんりゅうさんはやっぱり好奇心満載こうきしんまんさいな笑みを浮かべて、こう言った。

「あなた、面白いわね。私に笑いかけるなんて、あの子ぐらいよ?

 ……そうだわ。いい事を思いついた。こうしましょう。

―――私、あなたの旅についていくわ。使役しえきしなさい?」

「へ?」

今私はとんでもないことを言われた気がする。



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