第11話ひかり

「か、カケル……君……」


 アカリは、そのまま俺が反射的に出した腕の中で崩れる。

 本当は、俺は、ココロミエールで、アニキが俺の背後を狙っている事は分かっていた。

 だから避ける事は可能だったのだが、そのせいで、アカリの咄嗟の行動には、対応できなかったのだ。


「チッ。間違って上玉を殺しちまったか」


 アカリの左胸から、真っ赤な血が、ドクドクと噴水の様に血が溢れ出る。

 俺は、必死に手で押さえるが、それが無意味な事は、すぐわかった。


「よ、よかった……カケル君が……無事……で」

「しゃべるな! 今、手当てする!」


(だが、どうしたらいい?)


 この状況じゃ、俺に出来る事なんてたかが知れている。


(でも、いや、それでも、この異世界にも、神様がいるならアカリを助けてくれ!)


「まぁいい。ガキの魔石を手に入れられればそれでいいか」


 そして、再び、アニキの腕が俺に襲い掛かる。


「はは……だから嫌なんだよ……異世界は……」


 その時、そこにいる誰もが驚いた。


「カケルぅ! 忘れてたぁ! ついでに酒も買って来てくれよぉ!」


 なぜならもう辺りは暗いのに、強い太陽の様な光を感じたと思ったら、その光の中からエルテが現れ、アニキの攻撃を遮ったからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る