第9話奇襲

「それは!?」

「その表情。やはりこれか」


 そう言って、アニキが強引にココロミエールを奪おうとしたその時、


「カケル君! 逃げて!」


 背後に忍び寄っていたアカリがいきなり、近くに転がっていた木の棒を振りかぶってきたのだ。


「いてぇー!」


 それは完全に油断していたアニキの後頭部に思いっきり直撃する。

 すると俺を押さえていたアニキの手が緩んだ。


「今だ!」


 俺は、咄嗟に、ナイフを奪う。


「なぁ! このガキ!」


 そこでアニキは、矢先に、俺の顔に殴りかかるが、俺は、ココロミエールのお陰で、それを紙一重でかわしたのだ。


「はぁはぁはぁ」

「大丈夫!」


 俺たちはそのナイフをアニキに向けた。

 するとアニキは、急になぜかバツの悪そうな顔をした。


「クックックック。俺様としたことが第一級魔法使い相手に、せっかくの不意打ちを失敗させるとはな…‥」


 だが、それもすぐに悪い笑みに変わった。

 なぜなら、


「まぁ! また! 仕掛けるだけだがな!」


 アニキは、まだ奇襲出来ると思っていた。

 いきなり俺の死角、斜め後ろから右腕だけを出現させたのだ……。

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