第8話高校生

「さて、魔石をもらおうか」

「は、放せ」


 俺は必死に暴れたが、アニキとの力の差は大人と子供、歴然だった。


「大人しくしろ!」


 そこでアニキは、鋭いナイフを取り出す。

 恐ろしい刃を本当に俺の頬に当ててきた。


「?!」


 それに俺は、背筋が凍るが、


「そうだ。それでいい」


(ど、どうすればいい?)


 俺は、全身の力を抜かないまでも、無駄な抵抗は止めたが、このままじゃ、俺たちは、どんな目に遭わされるか分からない。

 だから俺は、一生懸命命乞いをする。


「た、頼みます……」

「うん?」

「み、見逃してください……」


 するとアニキは、その言葉を聞いて、とても嬉しそうな顔をした。


「や・だ」


 そして、まさか俺の頬を切りつけたのだ。


「うぅ……」


 俺は、恐怖で顔が引きつる。


「なぜなら俺様は、お前みたいな、世の中をなめ腐っているガキが一番嫌いだからだ」

「そ、そんな……」

「それより! どこに隠してるんだよ!」


 勿論ここでチビっても誰も責められないだろう。

 なぜなら俺は、この間まで、好きなアニメを見て過ごしていた、ただの高校生でしかなかったのだから。


(なぜ俺が、こんな目に遭わないといけないのか?)


「もしかしてこれか?」


 そう言いながら、アニキが掴んだのは、ココロミエールだった。

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