第4話金貨袋

「イ、痛タタタタタッ!」


 だが、次の瞬間、隙を見て、アカリがアカリを取り押さえていた一人の手に噛みつく。


「こ、このアマァー!」

「アカリ!」


 そして、チンピラの手から逃れたアカリは、俺に駆け寄る。


「に、逃げよう!」

「うん!」

「逃がすな!」


 当然チンピラは、凄い形相で追いかけてきたが、


「カケル君! ここはどこなの!」

「後で説明する! とりあえず今は! 手を離さないで!」


 俺たちは、とにかく露店街に紛れた。


(ここまでくれば……)


 やはり露店街は、まだ人がいて、賑やかである。

 しかし、


「ない……」

「どうしたの。カケル君……」

「財布が無いんだ!」


 なぜかさっきまで懐にしまっていた、エルテから預かった金貨袋が無いのだ。


 ――。




「アニキ。逃げられちゃいましたね」

「何、言ってる! デニムがチンタラしてるからだろが!」

「す、すいやせん」

「まぁ、いい。こっちにはさっきの奴の金貨袋があるんだからな……」

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