第3話第一級魔法使い

「こ、この声は……!?」


 俺が思わず、その声の聞こえる暗い店裏に行くと、


「へっへっへ。いいじゃねぇーかよ。可愛がってやるからさ」


 なんと女の人が三人の屈強なチンピラに連れ去られそうになっていたのだ。


「アカリ!」


 俺は大声でその女の人の名前を叫んだ。

 なぜならその女性を俺は、知っていたからだ。


「カケル君!」


 アカリは、どうしたらいいか分からず、ポロポロ、涙を流していた。

 でも、なんでアカリも異世界に。


「なんだなんだ。この女の知り合いか」


 すると三人の中で、一番でかいまん丸とした男が俺に詰め寄って来る。


「アニキ! ついでにこの小僧もさらっちまいますか!」

「そうだな……」


(だが今はそんな事どうだっていい。この状況をどうにかしないと……)


「そうだ!」

「なにがそうだだ!」


 その瞬間、丸男は、遅い拳を俺に振りかざしてきた。

 だが、それを俺は、なんなくかわす。


「はぁはぁはぁ」

「やるじゃねぇーか。このチビ」


 すかさず今度は、左ストレートを繰り出すが、それも俺は、軽やかにかわす


「クソッ! ちょこまかと!」


 そして、その流れの中、俺は、相手の金的を勢いよく蹴り上げた。


『くぁwせdrftgyふじこlp……』

「デニム?!」


 リーダーは驚いていたが、別に俺は、ケンカが強いわけじゃない。

 むしろ弱い方だと思う。

 だって、ケンカなんて一度もしたことが無いんだから。

 だが、このココロミエールがあれば相手の動きを読むくらい……。


『まさかこいつ魔法使いなんじゃ……』

「その子を放せ! 俺は、第一級魔法使いだ!」

『やっぱりか!』


(相手はうろたえてる。いける)


 そう思った俺は、さらにハッタリをかます。


「だから俺をもう怒らすな! 俺を怒らしたらお前たち骨も残らんぞ!」

「ほぉー……。そうか……」


(なんだなんだ……)


「小僧。第一級魔法使いか。実は、俺様も第一級魔法使いなんだよ」

「え……?」


 その時俺は、死を覚悟した。

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