第1話魔科学者
すぐに知ったのだが、この世界は、当たり前の様に魔石が使える世界だった。
魔石とは、俺たちの世界でいう所の魔法を使うための貴重な石だ。
エーテルという貨幣も存在し、なぜか言葉も文字も理解できた。
「つまり、俺は、異世界転移したって事ですか?」
「まず間違いないわね」
なぜ、俺がすぐにそれを知ったかだって?
それは……。
「私を信じな。私は、この国で唯一の魔科学者だよ」
このおばさん。
ティンカー・ア・エルテさんに教えてもらったからだ。
まだ三十代だろうが、とても美しい金髪ポニテールのおばさんである。
「私はまだ二十九だよ!」
そして、ここは、イリカという町のはずれにあるエルテの隠れ家である。
運が良かったのか、運が悪かったのか、こうしてエルテに、町で彷徨っている所を拾われた俺の、異世界転移物語が始まったのである。
「運が良かったんだよ!」
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