第5話 自分が何を出来るのか
食事の後、自分の部屋でのんびり寝転びながら今後の予定を建てる。
まず自身の成長を最優先に。
能力は低く、危険を冒せば命の危険もある。
だがユニークスキルを最大限に生かす為にもレベル上げが最優先になる。
家族への恩返しはその後だ。
自分が力を付けて多少の妨害にも対抗出来るようになったら、前世の記憶とこの世界の資源を組み合わせて様々な物を生み出していこう。
応接間にある魔道具を見る限り、上手く行けば家電のような物は生み出せるだろうと踏んでいる。
確保の難しさや作成難易度などはまだわからないので、それは追々考える。
「最初は家族に協力を頼まないといけないな」
俺がやる気を見せれば協力は惜しまずにしてくれるだろう。
問題は俺の年齢と能力の低さ。
それでもレベル上げを出来るだけ早くしなければ、家族に対する迷惑は増えてしまう。
この貴族社会において今のクラウという弱者は邪魔でしかない。
表に立ち始める前に、俺は力を付けなければいけないのだ。
「そういえば【転職官】ってどう使うんだ?」
口に出した瞬間目の前に沢山の文字が浮かぶ。
書いてあるのは無数の職業。
【剣士】【魔法使い】【僧侶】などの良く聞く職業もあれば、【商人】【木工職人】【大工】などの生産系、果ては【テイマー】【踊り子】【ギャンブラー】なんて物まで存在してた。
更にここには無い職業も、様々な職を極めて行く度に新たな職が出てくると説明では出てたな。
試しに【剣士】を選択してみる。
するとステータスの職業が剣士に変わる。
クラウ・ジャンダーク
年齢3歳
レベル1 職業 剣士(0/1000)
体力 10(+5)
魔力 10
腕力 3(+5)
知力 5
敏捷 5
器用 3(+2)
運命力 100
魔法 無し
スキル スラッシュ
ステータスに加算が付き、職業に適した能力も付く。
剣士の横の数字が熟練度のようなものだろう。
レベルとは別の経験値が存在するのだと思う。
良くやっていたRPGでもこのシステムはあったので、すんなり慣れそうだ。
「これって、後々ものすごい事になるんじゃないか……」
想像の段階だが、転職官を使いこなしながら成長促進を頼りに戦いを熟せばなりたい自分を目指せるだろう。
「ふざけた神様だったけど、感謝しないといけないな」
理不尽な理由で飛ばされてしまったものの、生まれる家族や能力は俺の為にしっかり考えてくれているのが分かる。
勝手に勇者と崇められたり常に命の危険と隣り合わせのデスゲームなんかじゃない。
ここは俺が頑張れば全部返ってくる世界なのだ。
そう思うと胸が高鳴った。
「明日早速父さんに話をしてみよう。今度は後悔の無いように」
前世の家族とは結局疎遠のまま離れてしまった。
俺が少し歩み寄れば違った結果が生まれたのかもしれないな。
クラウでは後悔しない様に、自分の気持ちをぶつけていこう。
そう思いながら俺は眠りについた。
翌日朝食で集まった時に、俺は父さんに伝える。
「俺に剣を教えてください!」
剣を学ぶことでレベルや熟練度が上がるのか。
それ以前に能力があっても剣を使う自分が未熟では意味がないのではないか。
その為の指南を頼む。
「クラウが剣?」
ライルが驚き食事の手が止まる。
「魔法なら僕が教えたのに…」
マックスは残念そうだ。
「クラウはまだ3歳だ。剣を持つのは早いだろう」
テリーはもっともな意見を述べる。
「俺に能力が無いのはわかってるんです。それでも少しでも早く努力して、皆に迷惑をかけないように!」
そう言うと空気が静まる。
「そうか……」
テリーはまさか本人に自覚があると思っていなかったのだろう。
劣ってるとは思わせないように、家族としての差を感じさせない様にしていたのだが、俺の返事に言葉に詰まらせた。
「いいんじゃない? やる気があるのは良い事よ」
マリアはニコニコしながら賛成してくれた。
「しかし……」
「大丈夫、私が怪我しない様に付き合うよ!」
ミラは5歳ながらお姉ちゃんとしてしっかりとしていた。
「父さん……」
「わかった、ただし怪我だけはしないようにな」
「うん、ありがとう!」
少し過保護なテリーは女性陣に丸め込まれ、承諾してくれた。
そのままお祝いの雰囲気になりながら、朝食を済ませたのだった。
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