第3話

「斯々然々、ということでございました」


梁山泊の危機が、竜虎山の道士の仕業であると報告してくれたのは楽桂。ではなく、小柄で痩せ型の若い男。湖を泳いで渡ってきたのだろう、全身が濡れていた。


神妙な面持ちで耳を傾けていたのは楽和と林冲に加えてもう二人。


一人は長身の林冲よりさらに大柄な武松という男。九尺近い長身だけでなく、胸板は厚く腕も脚も太い。常に酒の入った瓢箪を持っているほどの酒豪でもある。


もう一人は施恩という名の華奢な男だ。猫を思わせるややつり上がった眼は珍しい金色。身の丈は七尺二、三寸ほどはあるのだが、武松と並ぶと随分小柄に見える。


二人は楽桂が旅籠を出てしばらくすると、誰ぞの部下に連れられてやって来たのだった。


味方は多く合流しておきたい楽和達にとって非常に心強い。


話によればあと三人が寨の外にいるはずであるが、それ以降は頭領達が合流する気配はない。


それでも仕方ないと腹を括り、楽和は報告してくれた若者に礼を述べた。


「どうもありがとう。色々わかって良かったよ。」


若者は恐縮したように頭を下げ、補足を加える。


「孫立殿の奥様もご無事です。下山は許されなかったようですが、縄も掛けられず命の危険はなさそうでした。」

「そうか、良かった。」


あとはこの限られた人数で、如何にして皆を救うか。楽和は床に視線を落として考え込んだ。


「んじゃ、先手必勝。乗り込むか。」


と言ってすぐさま立ち上がるのは武松。血気盛んな直情型だ。


「待てよ武松。道士相手に無策で突っ込んだら返り討ちだ。」


そう諌めるのは施恩。彼もまた血の気は多いものの、冷静さと戦況分析に優れている。かつては百人近いゴロツキを従えており、また相当に慕われていただけあって人を動かすのが上手い。

見た目でいえば施恩は武松の腰巾着に見えるが、実のところは逆。


そして道士相手に無策で突っ込むわけにはいかないのは楽和も同感だ。


「けどよ、もうじきに陽が沈むぞ?」


武松が食い下がるが、施恩の眼がすっと細くなる。顔立ちが整っているせいか、睨むと迫力が出た。

この顔に弱いのか、大男の武松が怯む。


ここは施恩に任せるに限るだろう。楽和は成り行きを見守った。


「あのな、オレ達まで動けなくなったらどうするんだよ。残った部下達に封印を解いてくれとでも言うつもりか。」

「・・・・・わかったよ!」


武松がもう一度どかっと座る。


けれどのんびりしていられないのも事実。楽和は焦りと慎重の狭間で葛藤し、爪を噛んだ。


「姉さんが聞き出したこと以外には何かない?」


情報はなんでもいい、一つでも多くほしくて楽和はそう尋ねる。


「あります。」


若者は一つくしゃみをしてから続けた。


「ここからは我々が集めた情報ですが、・・・ええと紙はありますか。」


楽和よりも早く施恩が立ち上がり、旅籠の者に言って紙と羽織る物を持ってきてくれた。


若者は羽織りに腕を通しながら短く礼を言うと、するすると梁山泊周辺の地図を描き上げる。


「三人の術者と護衛の道士がいるのはこの三ヶ所です。黒い霧は丁度この三人の内側に立ち込めておりました。護衛は時折巡回しております。ただ、その巡回の範囲はそれぞれ違っておりました。」


若者が地図に印を書き込み、四人の頭領がその地図を覗きこむ。



術者と道士はいずれも湖を渡る手前。


方角は寨の北、南西、南東。


ではこの情報をどう活かそうかと楽和は腕を組む。


そこへ、若者のことが気になったらしい施恩が口を開いた。


「なあ、楽和。ところでこの若い奴は?お前の部下にいたっけ?」


梁山泊の頭領にはそれぞれ部下がいるが、目の前の男とは誰も面識はないはずだから当然だ。


楽和は得意気に笑みを浮かべる。


「実はですね、梁山泊が奇襲夜襲の際に機能するよう訓練された機密伝令班なのですよ。」

「そんなのがあったのか?」


林冲が驚きの声を上げた。


「はい。多くは時遷の弟子で、平素から家屋や樹上に潜んでおります。部下の兵士の多くは捕縛されたようですが、身を隠している彼等なら動けたようですね。」


時遷は楽和と同じ機密伝令担当の頭領。

もとは泥棒で、褒められたことではないのだが、すこぶる腕が良い。身のこなし軽く、物音を立てずに家屋内を動き、高い建物の外壁も怖じ気づくことなくスタスタと登れる男だ。ちなみに気性の方も相当に軽いとは楽和の談。


彼の直属の部下達もその技術を引き継いでおり、身を隠す場所さえあれば屋外でも気配を消せる。木々が生い茂る梁山泊内では、敵と楽桂の会話を盗み聞くのは容易だったというわけだ。

 

楽和が姉を斥候として送り込めたのも、彼等の存在を知っていたから。


敵を倒すことよりもまずは情報の収集に動く、これは楽和が時遷に徹底させた最重要事項でもある。


それがこの有事にあって功を奏したといえるだろう。


「にしても、戦わなければいけない相手は道士か・・・」


楽和はそう呟く。

梁山泊の手練れがおいそれと一網打尽になどされるものではない。なので、相手は腕の立つ道士だろうことは楽和とて想像がついていた。


しかしその目的が封印とはさすがに思いもよらない。


命を取られるのと何が違うのかよく分からぬが、少なくとも救出の余地はあるはず。


「朝までに倒さないといけないんだよね。公孫勝先生は山にいた?」


公孫勝は梁山泊一の道術の使い手である。これまでも敵が術使いであった場合の彼の存在感はとてつもなく大きかった。


若者は首を横に振る。


「いいえ、寨内に姿はありませんでした。既に捜索の手は出しましたが朝までに見つけられるかどうか。」

「・・・・あの人気紛れだからなあ。いい頃合いで来てくれるとは限らないか。」


とはいえ、公孫勝まで封印されたのではないようで楽和は安堵した。


複数とはいえ、公孫勝を凌ぐほどの道士が相手では分が悪いどころではない。且つ、朝までに梁山泊に帰山してくれる望みも繋げられる。


「時間がねえんだ。俺達だけでなんとかするしかねえだろ。」


急いて今にも立ち上がりそうなのは武松。こうしている間にも日は落ちていくのだから無理もない。


「だからって真正面から向かっても駄目なんですってば。」


彼の苛立ちが募る前に、せめて策は決めておかなければ。


そう考えつつ、楽和は懐から紙を取り出した。


「これ、公孫勝先生に頂いた呪符なんですけどね。浮遊術とか極々簡単な妖術が使えたり、相手の簡単な術なら解くことは出来るんです。使いこなすのも実は難しいんですけどね。」


懐紙には、一般人には解読不能な崩し文字。


「待て待て。なんでお前そんなの持ってるんだ?」


そう尋ねる林冲の疑問ももっともだ。

道術は対道士との主な戦闘方法。そして道術妖術の類を使える人間は梁山泊でも限られている。


楽和達非戦闘員が対峙することはまずないはず。


「機密伝令担当と書いて雑用と読みます。」

「そうじゃなくて…」


お決まりの楽和の言葉と林冲の呆れ声。

楽和は少し笑って続けた。


「大真面目ですよ。我々はひとたび戦となれば主に情報の伝達に動きますから。少しでも速さが求められることと、確実に伝達するための護身用ってところです。戦いは得意ではないですから。」


戦への備えは戦闘部隊だけじゃない。楽和がそう結ぶと施恩が興味深そうにそれを覗く。


「五枚か。イケるな。」


これで倒せ、と施恩はいっているのだろうが、そう簡単な話ではない。


「いいえ。相手は竜虎山の道士でしょう?竜虎山といえば道教の聖地、総本山。公孫勝先生直々の術なら対抗できるでしょうが、僕がこれでなんとか出来ることは期待しないで頂きたい。」


胸を張れる内容ではないのだが、楽和は胸を張った。

そんな楽和に林冲が不思議そうに尋ねる。


「じゃあどうするんだ?」

「いやもう単純明快に。気づかれないように近づいて気を失わせる方が利口でしょうね。そううまく行けばですけど。」

「その呪符とやらは?いつ使うんだ?」

「それを今考えてます。知恵を貸していただきたい。」


道士が相手なら使う価値はあるかと楽和は考えている。考えたが結局は林冲、武松、施恩の武頼みとなりそうだ。


それに知恵を貸してくれなどといったところで、林冲、武松はそういったことが不得手。二人して顔を見合わせている。


さてどうしようか、と楽和も迷う。


そこへ施恩が口を開いた。


「なあ、浮遊術使えるってどのくらいの高さまで?敵から見えないように隠れられるのか?」

「ぎりぎり地上の様子が見て取れる程度です。見えないようにと言いますか、気配を消すには札をもう一枚使わないと難しいです。」

「じゃ、楽和は上空に潜んでてくれよ。必要なら二枚使ってでも。残りは俺たちに術がかけられたときに解くのに使えばいい。」

「それでいいんですか?二枚、無駄といえば無駄です。」

「術掛けられたらこっちは何も仕掛けられない。それに万が一、敵を倒せない時は楽和だけでもそのまま逃げられるだろ。」


楽和だけ逃げたとて仕切り直しができるかは皆目分からないが、全員で捕まるよりはまし。


そう判断して、楽和は頷いた。


「ちょっと待て。全員で動くのか?分かれたほうがよくないか?相手が三組なら俺と施恩と林冲で一人ずつ。術が得体知れないのは分かるけどよ、得体が知れないからこそ早期決着つけられるほうが良くないか?」


そう息まく武松。全員で動くのは確かに効率が悪い。悪いが、呪符は楽和しか使えないのだ。分れるのは危険。


楽和は考える。


「・・・ 山頂には許福という統括。察するに、一番の強敵。どこかの術者が倒されたら、その時点で許福にも異変を知れてしまう恐れは確かにある・・・。」


そうなったら武松のいう通り、時間を掛けることこそが危険となる。


腕を組み、目を閉じて楽和は必至に考えを巡らせた。危険を最も減らせる方法・・・


そして出した答えは。


「武松殿と施恩殿で組んでもらえませんか?ここから近い、南東の術者をお願いします。」


単独行動は避け、二手に分れることだった。


「林冲殿は僕と南西の術者に向かってください。そこの術者を抑えます。そこから北の術者には四人で当たりましょう。じきに許福がやって来るでしょうから。」


この案には一同異論はなく、武松も大きく頷く。


「三人倒せば寨の中の頭領も動けるんだよな?」


そう確認を取るのは施恩。


「多分。許福に関してはその時点で諦めてくれると良いのですが。」


部下で命を取られた者はいない、楽桂には縄をかけていない、この二点から許福という人物の好戦性は感じられない。


おそらく殺生は好まぬ男だと考えられる。


四対一の構図になった時、果たして許福はどう出るか。


数だけみればこちらが優位。だが道士が相手である以上、単純な武力で推し量れないのだ。


やってみなければ分からぬ危うさはある。

しかしそれでも、皆を救うにはやるしかない。


すでに日は傾きかけており、西日強い眩しさが増そうかという刻限。


細かい注意事項を互いに確認しあい、一同は気を引き締めて旅籠を後にした。







武松は施恩とともに茂みに身を隠す。あたりは森。術の間邪魔が入らぬようこの場所を選んだのだろうが、武松達にとっても身を隠しやすいのは幸いであった。


二人の視線は、紙を広げ、なにやら唱えている術者らしき道士と、背中合わせに立つ護衛らしき道士の姿を捉えている。


術者の目の前には黒い霧、踏み入れれば動けなくなる封印の術中だ。


さて、ここからどう動くのか。

と思ったと同時に、背後の木の上に人の気配がして武松は振り向く。


「武松殿、施恩殿。」


二人に声をかけたのは小柄な若者だった。音もなく木から下りると、静かに二人に近づき頭を垂れる。


「機密伝令時遷班の呂と申します。ここで敵を監視しながら頭領の方をお待ちしておりました。」


ここにも機密伝令が潜んでいたことに武松は驚いた。思った以上に、梁山泊は裏方の存在に支えられていたようだと実感する。

それと共に、長い間対象を監視し続ける根気に舌を巻いた。


異変が起きてから既に半日以上。

せっかちな武松はすぐに敵に向かって行きたい気持ちが強い。


だが、突発な行動は慎めと施恩、楽和から厳重に言い聞かされている。


冷静に、武松は施恩と呂の会話に耳を傾けた。


「あの護衛、じっとしてるけどよ、動くことあんのか?」


施恩がそう問えば、呂は首を横に振る。


「わずかに。動いても数歩ほどの範囲です。ほとんどあのままですね。」

「術者は動かないんだよな?」

「はい。休むことなく、ずっと何か唱え続けています。」


そうか、と施恩が呟く。


続けて武松には釘を刺した。


「武松、分かってんだろうな?まずは術者から護衛を引き離すぞ。」

「・・・わかってる。」


術者本人より護衛を狙えというのは楽和の指示だ。


道士がどんな術を得意とするかは戦ってみなければわからない。しかし、術に対抗するすべを武松達は持たない。

ならば、先手必勝。攻撃をくらう前に倒すだけだ。

だが、術者の近くには結界が張られているため術者への攻撃は避けたほうが良い、ということだ。


分かってはいるが、


「けどよ、どうやって離すんだ?あいつあのまんまなんだろ?」

「焦んなよ。」


施恩はじっと道士達を観察する。呂のいう通り、ほとんど動くくことはなさそうだ。


「朝からずっとあのままなもんで、疲れは出ているようです。動きはしない代わりに集中力は明らかに散漫になっていますね。頻繁に欠伸をしたり、ただ空を見ていたり。」


確かに時折肩を回したり伸びをしたり、武松の目にも護衛は集中力を欠いているように見えた。


「私なら結界に入っても術が作用しません。私が囮にでます。奴が術を発動したとしても、隙は必ずできるはずです。」


呂のこの申し出には、


「いや、駄目だ。」


と即座に拒否する施恩。当然ではある。


奴等の狙いはあくまで百八人の頭領。部下達はいわば巻き込まれた形だ。自分達の敵はきっちり自分達で倒す。もちろん武松もそのつもりでいた。


「しかし、何もしないのでは。」


呂としても梁山泊の一員という自負がある。それに異変が起きて数刻以上監視を続け、ようやく動き出したこの事態。頭領の力になれるならなりたい。


そんな思いも施恩は十分理解しつつ、やはり危険を伴う囮の役を自分の部下でもない機密伝令にさせるわけにはいかなかった。


「十分、情報をくれただろ。それに、お前達が手出ししなかったおかげで、ああやって敵が油断してくれるんだ。」


実際、情報の収集に専念してくれたことは大きいはず。


「まあオレに任せとけ。」


施恩は腰に下げた布袋をちゃらりと鳴らしながら手を差し入れる。


その中から取り出したのは小さな環状の刃。けんと呼ばれる武器だ。


施恩は拳法の使い手。だが敵が槍や戟といった長柄の武器を使っていては分が悪い。


拳法の動きを邪魔することなく、殺傷力を強化するために使い始めたのだが、なかなか手に馴染んで使い勝手がよかった。


「?それ、握ったまま使う武器じゃねえの?」


武松の言う通り、基本的な戦いかたは握ったまま圈の刃で斬りつけることにある。また、円の内側の刃によって敵の武器を折り、無効化することもできた。


しかし今、施恩がやろうとしていることはいずれとも異なる。


「違う使い方もあるってこと。」


足音を忍ばせて移動を始める施恩。視線の先は護衛の道士。


「呂はそのまま。ああ、術者をすぐに取り押さえられるように準備していてくれ。護衛が十分離れたら踏み込むんだぞ。」

「はい。」


呂は短く返す。肩に掛けていた縄を解き、いつでも駆けだせるよう身構えた。

施恩が護衛を見据えるのに合わせて武松も護衛から目を話さずに指示を仰ぐ。


「俺は?」

「囮にはこいつを使う。敵の注意が俺に向かっている間に武松が奴を攻撃。」

「わかった。」


武松も戒刀を構えた。

施恩は距離を十分取って気づかれぬように移動を続ける。やがて、武松達のいる所から道士を挟んで向こう側の位置に着いた。


そして圈を、武松達の隠れている場所に近い木に狙いをつけて投げる。


圈は施恩の狙い通り、武松に近い木に当たった。


すると道士は武松に背を向け、施恩の隠れている方に歩き出す。武松が身を隠しながら後を追うと、宝剣を構えるのが見えた。


瞬時に、武松が地を蹴って駆けだすと、もう一度圈が飛んでくる。


術の詠唱を始めた道士だったが、圈と武松が同時に現れたことで動揺したようだ。


白い煙幕が立ち込めたが術が不完全だったのか、視界が悪いというほどではない。


焦る道士、しかし当然武松は次の術を待ってやるはずもなく力の限り戒刀を振り下ろす。


手応えと、男の悲鳴が聞こえた。


踏み込みと相手の位置から確実に命を取れたはず。


しかし倒れた道士は、最後になんらかの術でもかけていたのか、気を失っているだけ。

ならばとどめ、と言わんばかりに武松は戒刀を振り上げる。


それを制止したのは施恩だ。


「武松、やめておけ。」

「なんでだよ。」


武松は納得いかない。封印だとかいって襲ってきたのは敵の方だからだ。

そう主張するも、施恩も譲らない。


「敵は俺たちの部下を殺してない。」

「・・・・」


確かに、死んだ者はいないとの報告はあった。しかし敵の目的は頭領の封印だ。武松にとっては頭領を殺しに来たに等しい。


納得のいかない武松を、なおも施恩は説いた。


「封印は阻止するんだろう?だったら俺たちは誰も死なない。けどな、俺たちがこいつらを殺せばまた竜虎山を敵に回すことになる。」

「・・・けどよ、縛ったとしても目が覚めてまた術使われたらどうするんだ?」


どんな術を使ってくるのか分からない。だから生かしておくのは危険。


意見の割れる頭領二人の元へ、術者の道士を縛り上げてきた呂がやってくる。


「それなら良い物がございます。」


そう言って彼が持っているのは丸薬。


「強力なしびれ薬です。あの術者にも飲ませて来ましたが、一粒で丸一日以上動くことはできないはずです。」

「そんなの持ってんのか?」


そういえば縄も持っていたな、と施恩は感心する。呂は器用に丸薬を飲ませながら、


「はい。縄、紙に矢立、武器はヒ首と袖箭、それに各種医薬と毒薬の類は機密伝令時遷班の常備携帯品ですから。」


と得意気に話した。


武松と施恩は顔を見合わせて笑う。

けれどのんびりしてもいられない。

道士達の監視を呂に任せ、二人は再び馬に乗り北へと急いだのだった。

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