第91話 仕掛け【改稿済】
彼女の目の前にまた一枚だけページが浮かぶ。俺は最後の魔力を振り絞って斬撃を飛ばした。
が、それは簡単にセブンスによけられてしまう。いや、よけなくてもよかったかもしれない。俺が飛ばした斬撃はセブンスから遠く離れた場所を飛んでいく。
そりゃそうだ。そもそも
「ああ、もう力が残っていないんですね。とどめを刺して……」
俺は笑みを浮かべていた。セブンスはそれに気づいて
「何を笑って……」
そういった彼女の背から光の斬撃が飛んできて、完全に体を捉え切りつけた。セブンスの顔には
「がっは……」
セブンスが口から血を噴き出す。俺はふらつきながらもセブンスに近づいた。
「仕掛けておいたんだよ。《探知》の応用でね」
さっきセブンスが使った《探知》で俺たちの存在が知られたときに、俺は『やさしい魔法』の《探知》の項目を思い出していた。
『《探知》で魔力を飛ばす時は、感圧式魔法の応用で、魔力に反応する魔力を飛ばす必要がある』
《探知》は魔力に反応する感圧式魔法を使う。そしてそれは魔力に触れた瞬間反応して飛んでいく。
ではそれを応用して、光魔法の斬撃を閉じ込めた魔力に反応する感圧式魔法を用意しておけばいいのではないか。そう気づいて、セブンスの前に飛び出す直前に
俺が最後に力を振り絞って飛ばした斬撃は、その「魔力に反応する感圧式魔法」に向けて飛ばしたものだった。斬撃は見事、感圧式魔法にあたり、閉じ込めていた光の斬撃が飛んできた。広範囲に飛ぶように工夫したが、当てる自信はなかった。最悪の場合セブンスに突撃してでも魔法をあてるつもりだった。俺が笑ったのは、斬撃がセブンスの背中ドンピシャで飛んできたからだ。
すべては賭けだった。セブンスの最後の攻撃があれほどまでに強力なものだと知らなかったし、ヒルデも俺もギリギリだった。
「セブンス、ヒルデはこれで自由だ」
セブンスは
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