第10話 大人

「なぁ、どう思う?」

友人の問いに僕は首を傾げる。

「どうってなにがさ?」


「いゃあ、おかしくね?」

更に怪訝な顔つきで続けた、

「だって世界には悪の親玉みたいなのがいて、生まれた時から着けてたマスクはもう要らない。なんて急に言われてもさ?」


確かに、学校で教わった歴史はファンタジー小説になってしまった。


「それに大人達もどっか消えちまっただろ?」

彼はあまりネットに熱心ではなかったが、小さい頃からデジタルで育った僕はT○itterであの日何が起こったのか映像を見ることが出来た。


「まぁでも恐い兵器とかが無くなって、平和になったのはいい事なんじゃない?」


「戦争なんて他所で起きてたはなしだし、元々平和じゃんよ〜」

それは確かだが、経済によりノーダメージとゆう事ではなかったのだが興味はなさそうなので口を噤んだ。


「大人ライセンスっての取ったんだろ?俺はまた来年だけど、他の国に行くのか?」

どこか寂しそうに聴こえた。

特に問題があるわけではないが、この少年は集団でいじめを行っていた生徒に対し暴力を振るった事が懸念材料になったらしい。


もっと早く新体制になっていたら―そんな事が過ぎったが、彼は人を守れる正義だと思う。


「行かないよ」

反ワクしてた母親は居なくなってしまったのだが、追いかけていきなり知らない場所に行く度胸もなかったのだ、

大人ライセンスを取得したものは配属する国を選べるのだが運良く、この生まれた場所はニュートラルに位置する国と成った。


「お前と一緒に居たほうが楽しいだろ」

そう言って笑うと、彼も頷いた。


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