第10話 大人
「なぁ、どう思う?」
友人の問いに僕は首を傾げる。
「どうってなにがさ?」
「いゃあ、おかしくね?」
更に怪訝な顔つきで続けた、
「だって世界には悪の親玉みたいなのがいて、生まれた時から着けてたマスクはもう要らない。なんて急に言われてもさ?」
確かに、学校で教わった歴史はファンタジー小説になってしまった。
「それに大人達もどっか消えちまっただろ?」
彼はあまりネットに熱心ではなかったが、小さい頃からデジタルで育った僕はT○itterであの日何が起こったのか映像を見ることが出来た。
「まぁでも恐い兵器とかが無くなって、平和になったのはいい事なんじゃない?」
「戦争なんて他所で起きてたはなしだし、元々平和じゃんよ〜」
それは確かだが、経済によりノーダメージとゆう事ではなかったのだが興味はなさそうなので口を噤んだ。
「大人ライセンスっての取ったんだろ?俺はまた来年だけど、他の国に行くのか?」
どこか寂しそうに聴こえた。
特に問題があるわけではないが、この少年は集団でいじめを行っていた生徒に対し暴力を振るった事が懸念材料になったらしい。
もっと早く新体制になっていたら―そんな事が過ぎったが、彼は人を守れる正義だと思う。
「行かないよ」
反ワクしてた母親は居なくなってしまったのだが、追いかけていきなり知らない場所に行く度胸もなかったのだ、
大人ライセンスを取得したものは配属する国を選べるのだが運良く、この生まれた場所はニュートラルに位置する国と成った。
「お前と一緒に居たほうが楽しいだろ」
そう言って笑うと、彼も頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます