そんな目だから堕としたい!〜無表情で低身長で貧乳なくせにやたら強引な女の子に無理やり許嫁にさせれたので、彼女を屈服させて彼女の家も乗っ取ろうと思うんだけどやっぱ無理〜
第二話 家族に……ならない?じゃなるんだよ!
第二話 家族に……ならない?じゃなるんだよ!
《前回までのあらすじ》
カニ玉美味しい!
みなさんごきげんよう、鈴木真一改め桐野真一だよ。
俺は今、いろいろあってもぬけの殻になった我が家から、自分のものをいろいろ詰めているところなんだ。
なんでかって?
「あぁ!爆丸の爆TECH《ばくテク》シリーズの
声にも相変わらず抑揚がない、隣にいる低身長で無表情なおかっぱの女の子。
普段着らしき、着物がまぶしい。
桐野紫陽花。
俺の許嫁のせいなんだ。
「……なんで付いてくるわけ?」
「貴方が大切にしているものを、確認しておこうと思いまして」
「……プライバシーの、問題がね」
「……これのことですか」
「オアアアアアアアア」
彼女が手に持っていたのは、俺の秘蔵の『低身長スレンダーコレクション2022〜ロリコンでは、ないんです〜』だった。
「ニヤニヤ」
「顔に出ないからって口で言うんじゃねぇ」
「ポニャポニャ」
「何の効果音だよ!」
「……早く終わらせてください。見せたいものがあるんです」
「いきなり話戻すなよ!……わかったよさっさと行くよ!」
「先、下で待っときますね」
そういって彼女は降りていった。
なんか、こう、なんだ、割と喋る。
そこで自分では入れた覚えがない段ボールを発見した。
中を見てみると。
俺の
俺は声も出せずに悶絶した。
さらに、よく見ると段ボールに何か書いてあることを発見。
『しっかりこれで予習しとくんだゾ♡』
そうなんかイラストチックになった自画像と一緒に書いてあった。
決意がますます固まった。
さっさと荷物をまとめ彼女の待つ下に向かった。
彼女は外で待っていた。
着物姿も相まって、座敷わらしとかいっても信じられるほど、それは異質なかわいさを放っていた。
「……予習箱は、お持ちにならないんですね」
「持ってかねーよ!」
いや、別に本人かわいさ関係ないんだけどね。
「どひゃあ」
帰って早々、桐野家自慢の大広間に行ってみると、圧巻の光景が広がっていた。
白ラン。革靴。コート。着物。本。自転車。
そういったものが一堂に会して立ち並んでいた。
「どういうこと?」
「貴方は桐野家の一員です。なので桐野家の財力を駆使して一流のものを揃えました。ほら、例えばドル●バの呪●廻●コラボパーカー」
「……それ一流じゃないと思う……」
それに待って。
「……俺、四月から行く学校黒ランなんだけど」
「……忘れたのですか?貴方はもう桐野家の人間なのですよ」
「……ってことはつまり……」
「貴方は、私と同じ
「オアー!」
「安心してください、白樺高校は百年以上の歴史を誇る名門校、各地の名士が集う学校です」
「それが嫌なんだよ馬鹿!」
「……どうして?」
「こちとらゴリゴリの庶民だよ!」
「おじいさまは名家の出でしょう?」
「レンコン農家だよ!」
「チッ……きっといい学校ですよ」
何の舌打ち?
もしかして無理に納得させようとしてる?
「わかったよ!行くよ!もう!」
「さすがわが旦那様、決断が早い」
なんかお世辞っぽいんだけど。乗せないで。
「……おいまさか、エロ本だけまとめてたのって」
「ほとんどが無駄になるからです」
「そう……だったのか……いやそれはそれでどうなのよ?」
「……良しとしましょう」
「もうそうするよ……」
それからさっさと積んであった俺の道具は片づけられ。
俺と紫陽花と彼女の父。
三人でただっ広い大広間で夕飯を囲むことになった。
何でも母親は華道の先生として京都に行っているとか。
ここはどこって?
仙台!
献立は純和風なものだった。
なんか椀があって魚の焼いたのがあってちっちえぇご飯があった。
紫陽花はまず一番に父に持って行った。
「父上、いかがでしょう?」
「……」
彼女の父親、
「……ありがとうございます」
なんか和風だなぁ、と思った。同時にフェミに刺されそうだな、とも危惧した。
ぜんぜん関係ない話だが、俺は笹由さんのことを個人的に気に入っている。
見た目がいいのだ。
たぶん四十はいっていると思うが全くそう見えない。そして切れ長の冷たい瞳。華奢な身体。
かっこいいと思う。
でも空気は重苦しいままだ。
「……私は」
そう笹由さんが口を開いた。渋さを感じさせるいい声だった。
「貴様を桐野家とは、認めない」
「オアー!」
「父上!」
「……そもそも、何故財産泥棒の者を家の者と認めてやらねばならぬのだ」
ごもっとも。
「父上……ですが……」
「別に貴様が家にいるのなら、いたいだけいればよい。ただ私は、貴様の存在を未来永劫、認識はせぬ」
そして食事を終え、自分の部屋に戻っていった。
「……クソジジイ……はらわたを引きずり出して差し上げましょうか……」
「敬語でとんでもないこと言わないで」
「しかし……」
「……反対されてるから家帰っていい?」
「……白樺高校は明日入学式なのですよ」
「オアーーーーーー!」
飯を食べ終わったのでしばらくぼーっと大広間に座っていた。
そしたら紫陽花がやってきた。
「何してるんですか。早く貴方の部屋に向かって明日の用意を」
紫陽花に連れられ部屋に移動する。
とても広い!畳づくりだけどそれも雅でいい感じ!
でもおかしいぞ!
なんか食いかけのお菓子とか出っぱなしの靴下とかある!
それに布団が二つある!机も二つある!
「……どういうことなの?」
「ここは私の部屋であり……貴方の部屋でもあります」
「オアーーーーーーーーーーーーー!」
「嬉しいですか?」
「……別室で寝させて?」
「あの二人で最初に話した部屋は封鎖しました。決められた26桁の数字を入力しないともう開きません。それ以外の部屋も召使いを門番として置いています」
「えぇ……」
「夫婦として愛を育まないとなりませんから」
そういって無表情で抑揚のない声で、腕を振り回している。
ハッスルするな。いやマジで。
「明日学校だろ」
「そうでした、でしたら今夜はしっかり休みましょう」
信用、できん!
そして否応なしに翌日はやってきた!
朝起きると彼女はすでにいなかった。
着衣を見る限り、俺は無事のようだった。
大広間に移動すると、制服姿で紫陽花がトースターでパンを焼いていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「まずは着替えていらっしゃってください」
そういうことらしいので自室(?)に戻って着替えて、そして戻ってきた。
「なんでぇこの服」
白ランは思った以上に派手だ。まぁこれが制服なら仕方ない。
「お似合いですよ」
そんな紫陽花の服は白いブレザーなのであるが、しかしスカートが違った。
「なんでスカートに着物みたいな柄が」
「特注です。貴方も裏側を見てみてください」
ボタン全部あけて裏側を見てみた。
虎と龍が向かい合っている厳つい柄だった。
「……これヤクザの入れ墨だろ?」
「……しらー」
「しらを切るなら切り通せ!」
そんなこんなで朝食をとり、身だしなみを整え、とっとと行こうとした。
すると笹由さんが立っていた。
まるで威圧するかのように。
しかし負けっぱなしじゃいられない。
「……貴方が俺を認めないのはわかります。でも、退きはしません。絶対に貴方を、認めさせます」
まるで虫ケラを見つめるようにこちらを見てくる。一見何の表情も変わっていないように見えた。
しかし眉間に少ししわが入ったのを俺は見逃さなかった。
俺と紫陽花はさっさと入り口に向かった。
笹由さんは振り返らなかった。
「……ありがとうございます」
「……お前の為じゃない」
「……それでも、私は嬉しかったんです」
「ふぅん」
「……私の許嫁として、一言放ってくれたのが」
あ。
しまった!
オアー!
外に出ると、桜が満開だった。
「昨日まで全然だったのに」
「きっと私たちを祝福してくれているのですよ!さぁ、早く!」
彼女が手をとって、走り始めた。
俺は本当に乗っ取れるのかな?これで。
まぁいいや今くらい。
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