第49話 退職するの気持ち良すぎだろ!
6/12の最新話です。ここからはなろうと同じペースで進みます。最低2週間に一回。水か日に投稿です。
最近は大体週1です
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拝啓、前世の両親へ。
私は退職届を出してことないのですが実際はどんな感じなのでしょうか?前世ではやめる前に死んでしまったのですから少なからず興味があります。なんでも代行サービスなんてあるそうです。心身ともにボロボロになった時によく使われるそうですが、私は壊れる前に死んだからある意味セーフなのでしょうか?
敬具
フルール・ヤマト・ジャポニカ
お財布と体重にダメージを負った私だが、時間が経つのは早いことで鈴は職場に戻らなきゃいけない時間になった。
「そうだ、渡し忘れていたものがあった。はいこれ。これは我がジャポニカ皇家の紋章だから、これを貴族に見せれば大体どうにかなるかもしれないよ」
朝カーミンに寝起きドッキリをしたときにもらったジャポニカ皇家の紋章を渡した。一応本物の純金で出来ているから、一応トラブル回避もできるかもしれないものだ。相手が強硬策に出ない限り多分大丈夫…なはず
「かもしれないって…お姉ちゃん…ありがたくもらっておくね。片山家の掟その6。使えるものは親でも使えだね。けど、これを軸にしてシナリオを組めば簡単に退職できるかもしれない」
「……誠に遺憾だがカーミン様様な状況になってるね。本当に遺憾だけど…」
「まあ…親でも使えだから…神を顎で使ってると考えれば…」
「そうだね、じゃあ頑張って。お姉ちゃん応援してるから。」
「うん、最長でも1週間で行くから。もし来なかったら、そん時は私の身に何かあった時だから。よろしく
「合点承知よ」
こうして姉妹は別れた。次に会う再開を楽しみにしながら。姉は呑気に楽しみに感じ、妹はこれから決戦に行くかのように決意を決めた。
--------------鈴side----------------
私は退職する旨を伝えに行くためにウラアーリの執務室へと向かった。結局退職するために考えた演技プランはこうだ。
1 白昼堂々執務室へ突撃。
2 退職する旨を伝える。
3 どうせ消しに来るから、お姉ちゃんからもらった紋章を見せる。
4 うろたえると思うので、ジャポニカ家をチラつかせ煽る。
5 これでも駄目だったら、ウラアーリにもう証拠は押さえられていること伝える。
6 本当にこれでも駄目だったら、神剣登場!
このプランだ。簡単にやめられたら3番以降必要ないけど…まあ、どうせ必要になるでしょう。
さあ、自由への一歩だ!
コンコンコンコン
ノックは4回。ほんとこういう決まりマジでどうでもいい気がするよね。誰が決めたんだよって感じ。
「入れ」
ぶっきらぼうで尚且つイライラした声を隠さずにウラアーリは入室の許可をした。勿論私は恭しい声と態度を作りながら「失礼します」と答えた。
「どうした?なにか用か?」
ウラアーリは何かの報告書を読んでいたのか苦虫を潰すような表情をしていた。なにか悪い報告でもあったのだろうか?こちらも一応悪い報告だからダブルパンチになるなと心の中でクスリと笑った。
「はい、実はお暇をいただきたく、その旨を伝えるために参りました。」
「…お前にはこの家の黒い部分を見せているからな。はいそうですかというわけにはいかない」
「勿論ですとも。それを分かったうえで、こうして伝えに来てるのです。」
「…お前は馬鹿なのか?遠回しに消すと言ってるんだぞ。」
「どうぞご勝手に。私にはパトロンがいますので。私に手を出したとなると逆に貴方が消されますよ。」
「ほう、侯爵家である私に喧嘩を売るとは。そのパトロンとやらは相当に自信家なのだろう。」
「自信家って訳でもないですよ。元々の実家と2家目に私についたパトロンがいまして。新しくパトロンになったのはガブリエル伯爵家。そして、私の実家であるジャポニカ皇家です。」
私は満を持して首から下げたジャポニカ帝国の皇家を見せた。その時のウラアーリの顔は驚愕と懐疑の色で染まっていた。
「貴方は見たことあると思いますが、本物ですよ」
お姉ちゃんが王様と会った時の場に一応いたらしいから見分けはつくだろう。
「ほう、それが真実だとしたら迂闊には手を出せないな。ただ、私がやったという証拠がなければ問題ないだろう。ジャポニカ帝国の手勢はいないと聞いているし、証拠隠滅も楽だろう。」
「そうそう、証拠といえば、これは信頼できる情報筋から聞いた話なんですけど…貴女の所業もうすっぱ抜かれてますよ。物的証拠ももう押さえられてるそうですよ。残念でしたね。」
実際にはま証拠は掴んでいないが私が外に出さえすれば、証人として捜査に加われますからね。場所を知ってるから話はトントン拍子で進むでしょう。
「どうやらここまでか…とでも言うと思ったか?アストライヤ、君をを消せばこれからの計画に時間的余裕が出来るから、私にとってはもうどうだっていいのだよ。」
「へえ、私を消せると思ってるんですか?ならやって見ればいいじゃない。自慢ではないですが私は皇家で二番目に強いんですよ。お姉さまの戦闘能力が異常なだけで私も帝国内で十指に入る強さなんですよ。」
ここですかさず神剣アストライヤを見せる。この威圧感でビビってくれれば話は早いんだけど…多分無理よな。最悪窓突き破っての強行突破でこの部屋を脱出すれば丸いか。流石にウラアーリ家とはいえこの国で地位が高いから殺せないからね。
「それはなんだ。」
「これは神剣だよ。ちょっと前に話題になったでしょ、マルトレーゼ様の神託。あれ私。誠に遺憾だけどあの神の僕になってるよ」
「これはますますこちらに取り入れたい人材になったな。だがそれは無理だろう。こちらの戦力では君を止められないな。行きたまえ。」
「へえ、もっとごねるやら強行策に出ると思ってたのだけど…」
「おや?意外だったか?こちらとしては先程話したように私が悪人とバレようが別にどうだったいい。」
なにこの感じ…絶対何か裏がある。正直話が進みすぎてちょっと不安だ。それに罪がバレてもどうだっていいだって?もう裏しかないじゃん。
「警戒させすぎたかな。もう計画は止められないところまで来てるんだ。だからいくら優秀な人材を離してももう問題はないのだよ」
「……わかった。本当はめちゃくちゃ煽るつもりだったけど、何だか肩透かしをくらった気分だよ。では、ウラアーリ。私はここで失礼させていただく。精々お姉様に殺されるのを楽しみにしてるんだな。」
「楽しみにしとこう。ああ、それとガブリエル伯爵令嬢に伝言を頼む。『今後の関係は貴君の好きなようにしたまえ』とな」
「他国の皇女をメッセンジャーにするなんて不敬にもほどがありますよ…まあ、お互い様ですね。わかりました。そのように伝えておきます」
私はウラアーリに背を向けこの部屋から出た。扉が閉まる寸前に「さようなら、哀れな道化よ」とそっと言葉を残した。道化だなんて全く意味のない言葉だけど、雰囲気、形式美のために。
部屋に一人残ったウラアーリはまるで自分の事を蔑む様に「こうしないとこの国は終わるんだけどな。まあ我々の得意仕事は汚れのお掃除だ。精々あがいてくれよ『アヴィディタ』」と言葉を残した。
次の日、王城では今回の報せに驚きを隠せず波紋が広がった。”あの有名”なジャポニカ帝国から新たな住人が来たこと。その住人の名前はアストライヤ・スズカ・ジャポニカ。ジャポニカ帝国の第二皇女である。王は胃痛で倒れ、さらに城内は騒然となったという
そして、後に後期王国史を語るうえで、切っても切り離せない存在である『神に気に入られたマッドプリンセス』が初めて公の場所に名を遺した瞬間である。
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