第40話 王妃様ってやっぱすげぇわ
拝啓、前世の両親へ。ギャップのある物ほど惹かれると私は思います。だからでしょうね、男性が女性のギャップにコロッと落ちてしまうのは。
敬具
フルール・ヤマト・ジャポニカ
学園が終わっていつもの如く、屋敷のリビング?まあ溜まり場みたいなとこで、お嬢の報告を聞いていた。なんでも王妃様からお茶会のお誘いがあったらしい。
「ほうおう、ぶっちゃけめっさ探りに来てますよね?はー疲れるわ〜。猫被るのは得意だけど、あんまり好きじゃないよのね。」
「まあ、流石に今回は頑張ってとしか言いようがないね。自分で嘘を言うからこうやって首が閉まっていくのよ。」
全くその通りだ。流石にあれは少しやりすぎたかなと思ってる。反省はしている、だが後悔はしていない。まさにこの言葉通りな状況です。
「それで日時なんだけど……4/26午前11時。……まあ、潜入捜査の日だね。おめでとう、多事多端な1日になるでしょう。」
oh my goodness!! こんなん酒飲まないとやってられないですよ。未成年だと思ったそこの君、この世界では15で成人ですからもう飲めまーす。まあ、そんなに酒強くないけどね。あの某スト○ロで有名なVさんみたいに飲めないですからね。
「あ゛ー、分かりました。そうと決まれば早速準備です。会話の内容をある程度予測して、会話デッキを作りましょう。その場対応だと、いつか絶対ボロが出ますから。なあに、時間はたっぷりあるからな」
「あと言ってなかったけど、フルール一人参加だから、当日フォロー出来ないからね。慎重に入念に準備することね。」
おうふ、神は死んだ!やばいって。これは久々に本気を出さざるを得ない状況に追い込まれましたね。まあ、いっちょかましてやりますか。(などと言っているが別にかましたことはない)
そこからは多忙な毎日だったとお伝えしよう。両方の準備をしなければならないから当然ちゃ当然だが。
この約一週間半の間で構想して原型を作ってあった潜入服を完成させた。名前は『試作型潜入服 忍び』だ。はっきり言うと全身タイツの上にありがちなの忍者装備をつけただけである。濃紺色の着物と袴と脚絆、同色の手ぬぐいを顔に巻き、手甲にプチ大和砲をくっつけたスタイルだ。極め付けは左腕の部分はタイツのままであると言うこと。
何故そうなのかって?タイツはえちちだからだよ!私の創作意欲が爆発した結果です。後悔はありません。
投げナイフは腰のホルダーに5つまで収納可能、これ以上はぶつかり合って音がなっちゃうからね、仕方ない。
因みに潜入する私とアメリアはほぼお揃いである。一応カーミン用のも作った。違いはタイツを見せてる部分で、私が左腕、アメリアは右足、カーミンは右腕である。
潜入中は顔が見れないから、そこで区別した感じだ。けどまあ、ぶっちゃけ体格が似てるは私とアメリア、潜入するのは私とアメリアなので間違えようも無いのですが…ロマンは重要です。
準備を終えたし、いざ行かん!!戦争じゃあ!!
招待された場所は王城の立派な庭園だ、真ん中にはThe金持ち感の溢れる白いアーチの屋根の建物があり、その下にテーブルや椅子がある。その周りには綺麗な赤い薔薇の花が綺麗に咲いている。地球の薔薇とは違い時期とはちょっとずれているが満開になっている。気候は似ているのに不思議だ。
「ようこそ、フルールさん王家の庭園へ。それと初めまして。第一王妃の『クインス・マルメア』です。どうぞよろしくお願いします」
初見の印象を言おう。え?若すぎない?だって事前情報では46歳って聞いていたのに20代中盤って言われても不思議じゃないレベルの若さです。前世の私の方が老けて見えてたレベルだね。おそロシア。少しタレ目な凛々しい系美女だ。しかも髪と目の色は透き通る様な水色。ハッキリ言って美人です。
「ええ、初めまして。して、本日はどのような御用向きで?」
「社交界で噂になっている人物を見てみたくて」
クインスは何か含みのある笑みを浮かべた。まるで商人が値踏みをするのを隠すように。
「実際見てどうでしたか?小生意気な娘でしょう?」
「いえ、噂では庇護欲が掻き立てられる様な顔と聞いていたので、久々に社交界の噂が本当だと思いましたよ。」
「はは、私としてはクインス王妃みたいな凛々しい系美女になりたかったですね。」
「あら、ありがとう。けど、私は逆ね。貴方みたいな風になりたかったわ」
分からん分からん!全く分からん!何?あの含みのある笑み!?こっちを値踏みしてるんだろうけど、会話の真意が読み取れん。流石一国の王妃様だね。
しかーし、私だって伊達に嘘を貫き通してないですよ。こっちが読み取られない様にカウンターパンチだ。
「逆だったらwin winじゃないですか。今度交換できたらしましょうよ。」
「ええ、是非に。」
…あれ〜?もしかしてカウンター返し食らった?やばいって。助けて!お嬢ー!
「まあ、それは兎も角、フルール王女貴方の祖国であるジャポニカ帝国について詳しく聞きたいのですがよろしいでしょうか?」
キッター!そう言う狙いか。けどね、その話題は前日に作った会話デッキの中に含まれているのだよ。こっからはこっちのターンだ!
--------------side クインス--------------
「ようこそ、フルールさん王家の庭園へ。それと初めまして。第一王妃の『クインス・マルメア』です。どうぞよろしくお願いします」
あら?可愛らしいお嬢さんじゃない。事前情報だともっと軍人っぽいって聞いていたのに…やっぱ直で見た方が分かりやすいわ。
「ええ、初めまして。して、本日はどのような御用向きで?」
すごいわねぇ、その髪。蜜柑色っていうのかしら?見てたら段々と蜜柑食べたくなってきちゃった。今度子供たちと一緒に食べようかしら?けど、最近リリーちゃん以外の子達が反抗期だから一緒に行動してくれないのよね。
そう言えばフルール王女は相手との距離を簡単に詰められるとリリーちゃん言ってたわね。ならそのコツ聞いて子供達とまた距離を詰めましょう。
「社交界で噂になっている人物を見てみたくて」
「実際見てどうでしたか?小生意気な娘でしょう?」
小生意気なら昔の私の方がそうだったわね。恥ずかしいけど、あの跳ね返り具合は類を見ない程だったわね。当時は貴族の生活が合わないからって街によく抜け出してたわね〜。その時カズ君に会って意気投合して結婚したんだわ。懐かしいわ。色々障害があったけど、それもまた恋のスパイスだったわ。そう言えば結婚した丸くなったわねぇ。
とと、会話を返さないと、カズ君にまた叱られちゃうわ『ぽわぽわするのも時と場合を読んで』と」
「いえ、噂では庇護欲が掻き立てられる様な顔と聞いていたので、久々に社交界の噂が本当だと思いましたよ。」
「はは、私としてはクインス王妃みたいな凛々しい系美女になりたかったですね。」
凛々しい系…私はあまりいい思いをしてこなかったわ。性格キツい人だと勘違いされる事が多かったわ。
「あら、ありがとう。けど、私は逆ね。貴方みたいな風になりたかったわ」
「逆だったらwin winじゃないですか。今度交換できたらしましょうよ。」
あら、これは冗談ね!久々に言われちゃった。ふふ、こういう冗談が言える様な会話はしてて心地よいわ。そうだわ!私も冗談で返してあげましょう。
「ええ、是非に。」
あらら?場が白けちゃった?やっぱり慣れない事はすべきじゃないわね、反省反省。
「まあ、それは兎も角、フルール王女貴方の祖国であるジャポニカ帝国について詳しく聞きたいのですがよろしいでしょうか?」
カズ君の言っていたことを聞いておかないと。それとなく濁して聞いてと言っていたけど…どうやるのかしら?…分からないから直球でいいかしら?
--------------side フルール--------------
あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
おれは王妃の前で帝国について話していたと思ったらいつのまにかリリーちゃんの話になっていた。
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何故そうなったのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
話術だとか誘導されただとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
「それでね、リリーちゃんいつもはモグモグって食べるのだけど、ハンバーグを食べるときはねもきゅもきゅって食べるのよ。」
…KA⭐︎E⭐︎RI⭐︎TA⭐︎I⭐︎
なんでリリーちゃんの情報ばっか聞かされるんでしょうかねぇ。結局帝国のことはどんな食生活か?しか聞かれなかったし。
というか見た目とのギャップあり過ぎない!?なんでこんなぽわぽわしてるの?…けどこれはこれで大好物です!!
「王妃様、そろそろ次の公務の時間が押してきてます。」
隣に控えていた侍女がそう告げてきた、それもその筈だ、お茶会が始まってから2時間も経過している。つまりフルールは約1時間半強リリーの情報しか聞かされてないのである。
「あら?もうそんな時間?名残惜しいですけど、今日はここでお開きでということで」
「いえいえ、こちらも楽しかったですよ。リリーちゃんの以外一面を知れて。ではまたの機会に」
「ええ、またご招待しますわ」
結論、クッッッッッソ疲れた。ほぼ収穫なし!
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