第25話 こ、これが女子力の差とでも言うのか!?

 


 孤児院の朝は早い。日は昇ると同時にシスター達は起き始める。ここの孤児院はかつて資産家の娘が作り、その資産一家が更に儲けをだし、次代に変わったら、次代の経営者が更に儲かる様になって、『この孤児院を運営すると金持ちになる』と噂が立つ様になった。

そのおかげで、この孤児院の運営費はかなり金をかけている。

 約300年近く続いている有名な孤児院だ。



 6時半頃、子供達は起き始める。大体年長組から起きてくる、一番遅いのは3歳児とかだ。年長組が年少組の面倒を少し見ないとシスター達の仕事は増えすぎてしまう。だからか、年長組は進んで年少組の面倒を見る。




 7時頃、全員で朝食を食べる時間だ。シスター達は仕事にひと段落つける時間だ。子供達は朝食に夢中なので、一息つける時間だ。




 「ねぇねぇ、シスタースィリブロー。このえほんよんで」


 朝食後は自由時間だ。けど大体のシスターは年少組の面倒を見る。年少組の方が手が掛かることが多いからだ。



 「いいわよ。何の絵本かしら?」


 「『ちゅうぎのひめ』ってえほんだよ。」

 

凛々しくも可愛らしい姫を中心に桔梗の花が周りに咲いているイラストだ


 「この絵本か…私の一番好きな絵本なんですよね。実在した人をモデルにした様ですよ」


 「じゃあ、ほんとにいたの?」


 「ええ、300年前。まだこの国が立憲君主制になる前にね」


 「りっけんくんしゅせいって?」


 「ふふ、難しい言葉よ。さて読みましょうか。

『むかーしむかし、あるところにお姫様いました。そのお姫様は












 拝啓、前世の両親へ。自分は女子力が欠如しているなと、最近再確認しました。家事とかは出来るのですが、女の子として大事なことが色々欠けている気がします。家事力とは違う何かです。自分でも直そうと思っているのですが、いかんせん、積み上げた物は簡単には直らない物だと身をもって理解しました。



                  敬具

                  フルール



 やあ、現場は一時騒然としましたが、私は元気です。今回の嫌がらせは半分成功で社会的に半分抹殺出来ました。『皇女の淹れたお茶を吹き出した無礼者』として。イヒッヒッヒw、笑いがとまらねぇ。




 「ゲホッ、ん゛ん、少し話が逸れてしまいましたね。先程の質問ですが、答えさせていただくとNOです。有事の際に備えることは何も悪いことではないと私は思っています。」



 あそこから元の話に戻すのは凄いな。それとなぁ〜にが悪いことではないだ。本当にそう思うなら、貴方の家も武芸をやればいいじゃない。薄っぺらいんだよ。クソが



 「へぇ〜、そうですか、良かったです。同じ考えの人がいて。」


 

 だからお嬢。目が笑ってないって。ほら、もっと、スマイルスマイル♡



 「ええ、ところで変わりますがこのサロンはとてもいい雰囲気ですね、周りに植物があって。女性の方々は花が好きと思うんですが、ブラン嬢はどの様な花が好きなのですか?」



 あー、会話が続かないねぇ。会話初心者かよ。まあそりゃそうか。お嬢『お前とは話したくないんじゃあ〜』オーラバリバリ出てるよ。




 「え……私の好きな花?……多分バラ?ですかね?」

 お嬢はそれはそれは綺麗に目を逸らしていた。


 おいおい、まさかお嬢花興味ないのかよ。珍しいな。女子力がない私でも好きな花ぐらいあるのですから、もっと花を愛でましょう。

 …え?軍艦好きなのに花も好きなんて落差激しいなオイだって?失礼ですね、私だってladyなんですよ。人並みに花ぐらい好きですよ



 「お嬢、流石にその返答は貴族令嬢としてどうかと思いますが……」


 「フ、フルールだって好きな花無いですよね?ほら私達、ある意味同類ですよね?ね?」


 必死過ぎです、お嬢。


 「失礼ですね。私は青紫色の桔梗が好きですよ。理由はただ単純に青紫系の色とあの星形が好きなだけですが」


 おおっと!ここでお嬢、膝から崩れ落ちたぁ!


 「ッッッ!?負けた…完全に…まさか女子力でフルールに負けるなんて…クッ殺!」


 お嬢!ノックアウト!膝をついて立つことができない!フルールの渾身の右ストレートが決まったぁ!!カンカンカンカンカン!!

…どうでもいいけど、四つん這いの女の子がクッ殺ってえっちぃよね







 結局、お嬢は椅子に座らせたけど、意気消沈したままボケ〜っとしていた。流石に空気になり過ぎてたウラアーリは『お開きにしましょうか』と同情する様な目ででこちらを見てきた。お前に同情されるなんて…お嬢…アンダ、大物になっぢまっだなあ゛



  はい、お茶会終了!撤収!おつかさした〜





 「ハッ!私は一体何を?」


 「あ、お嬢。起きましたか。今はお茶会が終わって”私が”お姫様抱っこして屋敷に帰っているとこです」


 全国の男女諸君!私はやり遂げたぞ!お姫様抱っこを!!

 幼い頃夢であったことが多いであろうお姫様抱っこを!!

 


 「は?……お、下ろしてください。」


 顔真っ赤にしちゃって、しかも段々小声になってますよ。はぁー可愛い。ニヤニヤが止まりませんわぁ。こんな可愛いお嬢が見れるなんて…もっと意地悪しちゃお。



 「え?すみません。何か言いましたか?」




 「ッ〜、下ろして!こんなとこ近所の人に見られたら私は…」



 「おやおや、心配しなくていいぜ、お嬢ちゃん既に商業区を回って買い物しましたから。街の皆、見てたぜぇ。」

 ベテラン冒険者風の口調で言った。ロンデルにいたナイスガイ人の口調を真似てみた。


 「ぎ、ぎにゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 「あっ、お嬢、そっち屋敷と反対方向の商業区ですよ。って、全力疾走してたら聞こえないか。」





 因みに買った物は店員さんが察してくれて後で届ける手筈になっています。

 

                  ちゃんちゃん



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当時はここでシスターシリーズを入れてますね。何考えていたんだか…この物語の最大の伏線をこんな雑に扱ってるなんて…当時の私いっぺん死んだ方がいいんじゃね?

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