第23話 忌むべき大罪



 拝啓、前世の両親へ。貴族のお茶会って腹の探り合いや、陰謀が渦巻いてそうでなんか嫌です。脳死でお菓子うめぇなんてことができないので、お菓子を作った人に敬意を払ってないと思うんです。私だったらそんな事しませんけど。


  

                フルール

                敬具





 「はぁ、入学式あの好々爺の所為で雰囲気ぶち壊しだったじゃん。馬鹿みたいに緊張してた自分が恥ずかしいわ」


 入学式が終わり、次の予定はウラアーリとの茶会だ。その準備をすべく、学園の茶会ブースを借りて絶賛準備中です。因みにお嬢はゆったりと私の淹れた紅茶を飲んでいます。いやぁ美少女は何やっても様になるねぇ。


 「あの校長はちょっと有名ですからね。そんな事でメンタルやられる様なら貴族社会生きていけませんよ。」


 悔しいが正論である。まあ私が一人で勝手に文句言ってるだけだしね。それにこれからは第一皇女、フルール・ヤマト・ジャポニカとして3年間学園で過ごすのです。シャキッとしないと



 「さて、一通り準備が終わりましたよ。ちょっと休憩しますね。はぁ〜紅茶うまっ。やっぱり淹れ方変えるだけでかなり変わるもんだねぇ」


 

 「ちょっと、一応公式の場なんだからそのだらしない顔やめなさいよ。貴女は良くも悪くも注目されているのですから。」


 あーめんどくせぇ。私は恥も外聞も気にしない帝国の第一皇女です。そんなめんどくせぇ事なんて気にしなーい気にしなーい。



 「あっ、お嬢。ちょっとお花摘みの場所ってわかりますか?全然分からなくて。」


 「えーっと、確かそこの突き当たりの角を左に曲がってその突き当たりの角を右に曲がった所にあると思います…多分。まあ最悪、その辺の人に聞けば大丈夫だと思います」


 「うーん、多分分かりました。じゃ、行ってきますね」






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 ふう、なんとか間に合いました。結局お嬢の言ってたのは教職員用ので一般生徒などは使用禁止のやつでした。なんでそっち知ってるかなぁ、危うく大変な事になるとこだったよ。



 「なあなあ、どっちに声かける?」


 「やっぱお姉さん風の方でしょ。自分ちょっと体格が小さいのはちょっと…」


 「マジ?じゃあ俺そっち行くわ。せーので声かけるぞ」



 お?なーにやってんだぁ?…ナンパか。まあ別に人の趣味嗜好は法や公共の福祉に反さない限りどうだって良いけど。どのぐらい可愛いのか気になるな…見てみよっと。



 「ねぇ、今日はベルの為にお弁当作ってきたの。だから…その…食べさせて貰えないかな?」


 おお。体格が小さい子は庇護欲がかき立たれる小動物系の人だ。それにちょっとセクシー風のお姉さん系のベルさんにお弁当を作っただと!?なんだよその見た目と反しているギャップは!?



 「あら、ありがとう。ミカ。じゃあ今度は私が作ってきてあげるね。…まだ…料理した事ないけど…わ…笑わないでね」



 おほーーー( ◜ω◝ )キマシタワー。ベルさん実は料理が出来ないと。そのギャップ良いですね〜。しかもこれは『あーん』させてくれる百合展開ではないか!!?は〜聖域だ。Sanctuaryだ!百合の花園ではないか!!もう最高!これだけでご飯5杯いけるわ。私もお嬢とこういう風になれたらなぁ。



 ん?待てよ。状況を確認しよう


ナンパ男の二人組発見→どっちにナンパするか話し合ってる→百合展開を見る。



 結論。ナンパ男達聖域を穢しに行く



 ………許せねぇよなぁ。その行為は世界百合保護推進協定の中で定められている、最も罪の重い行為だ。そう。『百合の間に挟まる男』だ。聖域を穢すものには罰を!!穢れた思想を持つ男には罪を!!我々は百合を守る為なら武力行使を辞さない。駆逐せよ!!!蹂躙せよ!!!殲滅せよ!!!うおおおおおおお!!!フルール行きまーす!!



 「すみません、何してるんですか?」


 最初はにこやかに。威圧をかけやすい様に笑顔で


 「ああ、これから俺らであの二人にナンパしに行くんだ。上手くいけば二人ともお持ち帰り出来るかもしれないぜ」


 ふぅ、良かった。私が想像してた道理の下衆で。これで心置きなく潰せる。It’s show time!!



 はい、ここで一人に胸ぐら掴みまーす。そしてドスの効いた声で

 

 「なあ、君がやろうとしてる事は私は許せないのだ。別にナンパの事を怒っているんじゃない。ナンパするのは勝手だし君らの結婚相手見つけるのにも役に立つかも知れない。…ただ、女性の百合の間に挟まる事、それだけは許せないのだよ。分かるかな?これ忠告ではなく、脅しなのだよ。百合の間に挟まろうとした。その大罪を犯した事を後悔すると良い。

 さて、次に貴様らが言わなければならないことは分かるよね?……ね?」


 「ヒッ、ヒィィィィィィィ!!分かりました。もうしません」


 「うん。そうだよ。百合は間に挟まるるんじゃない!遠くから見て愛でるものだ!!」


 「「ハ、ハイッ!」」


 はい。これだけの簡単なお仕事で百合の間に挟まる男をまた二人駆逐しました。いやぁ、良いことした。うん。そろそろかーえろっと




 のちにこの二人の男達は百合保護同盟を結成し、百合の保護に尽力したのだが、フルールは知るよしもなかった。






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 「あら?遅かったわねフルール。大丈夫だった?」


 ふう、やっぱりお嬢は最高だぜ。やっぱり気品があると言うかなんというか、こう傅きたくなるね


 「大丈夫でしたよ。お嬢が言っていたとこは教職員用ので私達一般生徒は使えないやつでしたけどね。あと善行をして世の中に貢献してきましたよ」



 「お花摘みに行って善行をするってなに?まあいいわ。それと言っときたかったんだけど、お茶会でくれぐれも変な真似しないでね。」



 「べ、べ、べ別に、へ、へ、へ変なことしないですよ。」



 ヤバイ、バレテーラ。ウラアーリに難癖付けてちょっと痛い目に遭ってもらおうという計画がバレた!?……よし。方向転換だウラアーリには迷惑を掛けずにお嬢に手を出させない様にする。勝った。完璧の母だわ。


 「少しは隠しなさいよ。あとそれとなく裏のこと聞いといてね、バレない程度に。」


 「了解であります!サー!」


 お嬢に敬礼!



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 因みですけどこの百合に挟まろうとした男二人組、また出る予定です。多分3章あたりかな?




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