第19話 あぁ〜!主砲の音ォ〜!!



 

 拝啓、前世の両親へ。雇い主が勝手に給料から天引きしました。そのせいで今月はカツカツです。どこか1発ガツンと稼げる場所はないですかねぇ〜。…そうだ、冒険者協会に行こう


                  フルール

                  敬具



 一時現場は阿鼻叫喚の騒ぎになりましたが、取り敢えずは沈静化した様です。


 「お騒がせしました」

 30分後ようやくブランが正気に戻った様だ



 「ん゛んっ、さて話は逸れてしまったが、フルール殿、貴殿はどの様にしてこの国に来たのか?。又従者などは連れてきているのか?」



 「ああ、私のスキルで海渡ってきました。簡単に説明すると、私のスキルはある軍艦の力をそのまま使える事で、その艦の本体を出し、一人で渡ってきました。そもそも私以外乗れない仕様になってはいるんですが。なので従者は連れてきてません。

 ただ知り合いが偶々こっちに来ていて、その子は飛行スキルなので一人で勝手に来たという感じです。因みに偶然、私と一緒の職場で働いています。」



 あんまり手の内晒さない方が良いのかな?まあ少しだけ濁しておきましょう



 「ふーむ……実際にその本体とやら見ることは可能か?」


 「出来ますけど、港の一区画貸してもらわないと出せませんよ?かなり大きな艦ですので。

 多分500mぐらいあれば余裕があると思います。正確には263mですけど。」



 「約300m!?そんなに大きいのか?うちの船でも最大約50mだぞ!?嘘ではあるまいな!?」


 

 そんなにビックリする程の大きさか?そっかこっちの船はガレオン船なのか。そりゃあ規模が違いますな。



 「まあ嘘だと思うなら嘘だと思って下さい。そもそもうちと比べて、技術力が400年近く遅れてるレベルなんですから。」



 「400年だと!?我が国を馬鹿にしているのか?」


 

 なんか小物臭がプンプンするうるさい側近がいるぞ。こちとら皇女ですよ!貴方とはレベチなのです!


 

 「馬鹿にはして無いですよ。そもそも私の国は隣の大陸を支配している島国ですよ。ずっと戦争してきたのだから、その分技術力は上がりますよ。

 私の国にこの様な言葉があります。『戦争は技術力を上げる大きな火種だと、人的犠牲と金銭的犠牲が無ければ、国を大きく躍進させるものであると』

 400年間この大陸には大きな戦争は無かったのでしたよね?その分私の国は技術力を上げてきたのです。」



 車や飛行機だってそうやって進化してきたのだから。本当に人間の進化させる能力には脱帽するよ



 「ほう、それでは我が国と貴国が戦争したら我が国が負けるとそう言いたいんだな!」


 え、何言ってんの?当たり前じゃんw16世紀の技術と20世紀じゃ訳が違うよ。種子島と九九式有坂の性能比べてもしょうがないでしょ。



 「ええ、この国は十中八九負けますよ。そもそも交戦距離が違うのですから、一方的な戦争……いや虐殺に近くなります。海軍で例えるとこの国の船の交戦距離は最長約1km、それに対して私の国は約40km逆立ちしたって勝てませんよ」


 460mm砲の最大射程って確か40kmぐらいだよね?けど実際はもっと短いかな?まあ空母もいるはずだし誇張してもヨシ!



 「……そうなれば貴国はこの大陸にまで戦争を仕掛けてくるのか?」


 これまで口を閉ざしていた王様は重苦しく口を開き聞いてきた。その姿はまさに国を憂いている姿だ。



 「旨味がないのでしませんね。そもそも流石に私達の技術力でもここまで来るのに大変ですから。苦労してまで来て戦争するなんてそんな非生産性のない事しません。

 私の国からこの大陸までざっと10000km近くあるんですよ?貿易するにしても採算取れませんって。大赤字もいいとこです」



 「では侵略はしないと?」

 「しないと思って大丈夫ですよ。」

 「そうか」



 王様は安心したのかホッと息を吐いた。気ぃ抜きすぎとちゃうか?(エセ関西弁)



 「大変です!王都にドラゴンの群れが向かって来てます。あと約2時間で到着する様です。」


 慌ただしく謁見の間に入ってきた伝令の兵士がそう叫んだ。



 「ええい控えよ。客人が来ているのだぞ!」

 小物おじさんがキレ散らかしてるよ。あっ、お構いなく〜


 「よい、はぁ『アロガンツァ』なんて不穏因子があって、今回の皇女の件もあり、ドラゴンの群れなんて不憫過ぎない?わし。さて第3騎士団は住民の避難の準備をしろ!第2、4、5、は王都でドラゴンを迎え撃つぞ。

誰か冒険者協会へ遣いを出してくれ。緊急クエストだ!」




 わーぉ、私完全に空気です。まあそれ以上にお嬢の方が空気なんですけど。

それにしてもDORAGON?私見たことがないなどんな姿なんだろ?西洋タイプかな東洋タイプかなそれともカ○リューかな?気になるわぁ


 ………ん?冒険者協会から緊急クエストが出るってことだよね?という事は私参加できる?

 多分ドラゴンって売ったら高いよね?



 よし!ドレス代稼ぐか!




 「ちょうどいい機会です。我が国の技術力、見せてあげましょう!

 そこの伝令!ドラゴンが来る位置で見晴らしのいいポイント教えて下さい。対価は今回の件私一人で片付けます。」



 「ちょっと本当に大丈夫なの?死んでも責任取らないからね(小声)」


 もう、お嬢ってば心配性なんだから。私がこの程度の相手で負けるとでも?我が帝国の技術力は世界一ィィィ!できんことはないィィィーーー!!



 「ほんと?もし怪我してもわし一切責任取らないよ?ほんとだよ?本当に責任取らないからね?」

 おいおっさん、国王なんでしょ!?もっと威厳を持って!


 「我が帝国の技術力!篤と見よ!」







 場所は王宮から変わってドラゴンが来る向きの楼門の上です。ここからドラゴンを「そ↑げき↓」(イケボ)します。

 伝令曰く、40体との事なのでまず全弾当たるとして40÷9で約4.4、次弾装填まで約30秒なので30×4.4で132秒、外すことも考慮してプラス30秒しても162秒。つまりはカップラーメン一個分です。おいおいカップラーメン一個分でドラゴンの群れ退治されるってマジ?

 交戦距離は遠すぎると回収がめんどくさいから約5kmを目安にやる。ドラゴンの飛行スピードは約70km/h、交戦距離に入ってから約4分半で到着する。まあ余裕っしょ。





 さて周りには、私、お嬢、小物おじさん、伝令さん、あと兵士50名がいます。こんだけ居れば証拠として十分でしょう。

 あとはお嬢にカーミンにねだって作って貰った、超高性能耳栓を渡してっと。悪いなお前ら、この耳栓二人分しかないんだ。せいぜい頑張って耳を塞ぐといい。

 さて観測機一応飛ばしてっと……敵ドラゴンを発見!大和魂を見せてやる!


 「…おっ、居ました。敵ドラゴンです距離6km。5kmに入ったら交戦しますので皆さん全力で耳塞いどいて下さいね。耳聞こえなくなりますよ。」

 

 私はスーパーコンピューターの如く敵の進路を計算し、砲身をどの程度上げたら良いか勘と経験を元に算出した!唸れ!私の灰色の脳細胞!



 「それでは10秒後に発砲します。約3分間頑張って耳を塞いどいて下さいね。では、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、順次射撃開始!!」



 ドゴンゥゥン!!ドゴンゥゥン!!ドゴンゥゥン!!


 最初の装填弾は8/9発当たったぜ。順調順調。


 「よし装填完了!順次射撃!てぇ!!」


 ん゛ん゛ん゛ぎもぢいいいぃぃ!!

この砲撃音たまんねぇ〜脳汁ドバドバ出てるわ。これは私にとって合法麻薬です。しかも全弾ヒット!はぁ⭐︎快⭐︎感⭐︎(恍惚)



 さて残り23体。しかし全く同じ絵が続くとつまらん。君たちもキマっていて、ずっと同じ絵は見たくないでしょ?見たいならいいけど。という事でサクッと処理しちゃいます。



 オラ!!


 7hit

 残り16体


 オラオラ!!


 8hit

 残り8体


 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!オラァァ!!!


 8hit

 残り0体


 mission compleat!

 It's a piece of cake.



--------------討伐後--------------



 「はーい皆さーん頑張って回収して下さーい。一番回収が多かった騎士団には1匹差し上げますから、頑張ってねぇ〜」


 討伐は赤子の手を捻るかの様に終わりました。もう楽勝っすわw。

 そうそう面白いのが小物おじさんガチでビビり散らかして私に終始土下座しています。男虐めても何も面白くないね。こうもっと美少女で、金髪で、鎧着て、悔しそうな顔して、「くっ、殺せ!」何て言ってくればベストです。私がもし女性だけの騎士団手に入れたらくっころ騎士団と名付けよう。



 話は逸れてしまったが、作業の方は順調である。この方法を取ったのって豊臣秀吉だっけ?餌をぶら下げて作業効率を上げるやつ。お陰でだいぶ速いです。やっぱり先人は偉大だね。









 

 「結果発表!今回のドラゴン回収イベント、勝者は!(あっ、ドラムロール音入りまーす)……第5騎士団の皆さんです!おめでとうございます!さてここからどの様に分けるかは自由に決めて下さいね。勿論一人だけ全額貰うってのもありですよ〜」




 おおぅ、第5騎士団の目つきが急に変わったぞ。

これはバトロワ始まりますな。これはこれは愉快爽快。人間の欲望に堕ちる様は見てて気持ちがええの〜




 さてお待ちかねの冒険者協会での換金タイムです。まさか王都の冒険者協会に来るのがこんな理由とは思いませんでした。ふぇっふぇっふぇ、いくらになるかなぁ。



 「えっと今回の報酬は翼が無くなったドラゴン5体、頭が無くなったの6体、お腹に穴が空いたの9体etc……よって大金貨3枚と金貨5枚です!」



 「「「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」



  

 勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!

日本円にして約3500万円だよ。もうこれ30年ぐらいは遊んで暮らせるじゃん。いやぁドラゴン最高!



 「あとこれは税金等で引かれている額なのでここから引かれる事はありません。流石に一括は無理なので20年払いとさせて頂きます。」



 「あっ構いませんよ。さて、野郎ども!今日ここにいる奴は私の奢りだぁ!飲みたいだけ飲め!」



 「「「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」



そしてギルドでは過去最高売り上げを達成し、私は1日で約金貨2枚を支払ったのである。……やべ調子乗りすぎた。





          次回予告!



 突如として大金を手に入れたフルール!彼女は札束で殴る方法を思いつき、またカーミンは何かを試作していた。


           次回


        王都での初冒険(一応)



        次回も見てくれよな!



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おまけ


カーミン「最近フルールが私を青いたぬき型ロボットの様な、便利な奴だと思ってる気がする。」


フルール「マ、マッサカァ〜。ソ、ソンナワケナイヨ」


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