閑話 片山家

時系列は少し戻ります   


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 入学試験の前日の日、フルールは屋敷のベランダのテーブルで晩酌をしながら、物思いにふけていた



 「どうしたんですかぁ?柄にもなくしけたツラしてぇ」



 仕事が終わったのかカーミンがひょっこりとベランダに出てきた。あのひょっこりの人の様に。



 「うるさいです。私だってセンチになる事だってあるんです。…ちょっと前世の家族がどうしてるのかなって」



 「私が確認してきましょうかぁ?」



 「頼みたいけど、もう私は片山瑞希じゃないからあんまり踏み込んじゃダメかなって思ってる」



 「めんどくさいですねぇ、センチになってるんだったら、今どうしてるか聞いた方がいいじゃないですかぁ?…まあ貴女が満足いくまで付き合いますよぉ。半ば私が原因ですから。」

カーミンは椅子に座り、自分の神様パワーでスルメと日本酒を出し、魔法で炙りながら言ってきた



 「そうだよ。貴女が原因なんです。私が満足するまで付き合って下さい」



 「うーんじゃあ、貴女から見た家族の印象を教えてください。私は見ることは出来ても、知る事は出来ないですから」



 「……私達は4人家族で、両親と私と妹の鈴で仲の良い家族でした」



 「母親は真面目でしっかりと私達を愛してくれました。「娘の為なら努力も厭わない」それが母の口癖でした。うちの常識枠です。ただ偶に天然全開でしたが」



 「父親は逆に私とすごく似ています。一つの事に没頭し過ぎる事が多々ありました。あと私に女の子同士の恋愛を教え込んだのも父です。なんで母と結婚できたのか分からない程の変人です」



 「鈴はいつも私の後ろをついてくる様な子でした。そしていつも私を庇ってくれるいい子です。

私は学生時代にレズという事で少しいじめられていたんです。当時はまだLGBTに対して偏見や当たりが強かったのですが、私に対する偏見などを無くす様に頑張ってくれました。自分のことが大事なら、他人のふりをして「我関せず」のスタイルを持つ方が良いのに、いつも庇ってくれて……最高の妹でした」



 あれ?なんで泣いているんだろ。前世のことはもう割り切ったはずなのに…ぁぁお母さん、お父さん、鈴…



 「ほら、私の胸貸しますから存分に泣いてください」


 私はカーミンの胸に泣きついた。もう家族には会えない気持ちを感じながら。皮肉にも家族と会えなくなった原因の胸は凄く心地よかった。

…少し硬かったけど






 カーミンの硬いむn、おっと失礼。膨よかな胸で30分間泣き続けた。そのせいで私は顔面ぐちゃぐちゃ、カーミンのメイド服は涙と鼻水だらけである。汚ねぇ




 「もう十分ですか?」


 「うん。もう大丈夫。元気100倍フルールマンだよ」


 「それでこそ貴女です。……提案なんですが、これから毎日、いやこの世界に来てからの日を日記、又は手紙にして両親に渡すというのはどうでしょう?流石に両親が生きている間には神界規定上渡せませんが、天国に行ったら渡せますので、「私は元気でやってますよ」と両親に報告できますよ」



 「………分かった書くよ。これから毎日、そして過去の分も。貴方達の娘は異世界で頑張ってますよって。そして天国に行くときに詳しい話を土産話にするんだ」



 「では毎日書き続けて下さいね。これくらいは私の贖罪ですから」



 「………ありがと。早速書いてくるね」


 フルールは駆け出した。あの日あった事やこんな思いをした事を書き起こす為に。



 

 







 「……あの事は黙っておいた方が良さそうですね。その方がロマンチックな展開になると思います」


 カーミンは日本酒を飲みながら呟いた











 


 

 おまけ



 フルール「ねぇ、その神様パワーってやつなんでも出せるの?」


 カーミン「ええ、なんでも出せますよぉ。質量が大きかったり、体積の大きさ、素材の希少性によってエネルギーが必要ですが、基本なんでも出せますよぉ」


 フルール「じゃあRX-○とか出せるの?」

丸だからね。ゼロじゃないよ

 カーミン「出せますねぇ。出すってよりかは、創るに近いですが、デスト○イモードとか使える様に出来ますね」


 フルール「チーターじゃん!この世界でユニ○ーンはチートでしょ。」


 カーミン「貴女のスキルも神様パワーのエネルギーで作ったんですが…まあわかりやすくすると、スキルは100エネルギーでつけれたのに対し、RX-○は10000エネルギー必要ですね。参考までに貴女に作った皇女の印は2エネルギーです」


 フルール「2エネルギーでだけじゃんよかったぁ」


 カーミン「人間が一生働いて得られるエネルギーは1エネルギーですよ。」


 フルール「ゑ!!?」


 カーミン「という事で、死後人間の一生分私の補佐して貰いますからね。キッチリ耳揃えて返して下さいね」


 フルール「はーい(´·ω·`)」



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 因みに日本酒とスルメは0.00001エネルギー必要です。


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