第13話 偽りの姫と本物の姫




 拝啓、前世の両親へ。私は貴族に喧嘩を売ってしまいました。どんな方法で切り抜けたらいいのか教えてください。教えてくれなかったら天国で祟ってやるからね。…ほんとだよ?



                  フルール

                  敬具

               



 えー、ただいま大ピンチです。ちょっと誰か助けて!どうやって切り抜けばいい!?ここは穏便に他の事、例えばギャンブルが雑魚いみたいな言い訳にするか?丁度お嬢が近くに居るから、どう評価されるか賭けたみたいな。………あーもう考えるの面倒くなってきた。これ喧嘩買ってもいいんじゃね?面倒いし。アイツなんか気に食わないし。よし喧嘩買おう!



 「ええ、貴方の事を『雑魚』と言ったのですが、聴こえなかったのですか?」

煽るぜ!煽りまくるぜ!今世紀最大ぐらい煽ってやるぜ!


 「ほう、どこの娘か知らない奴なのに伯爵家嫡男である俺に喧嘩を売ってくるとは、いい度胸だな、褒めてやるぞ」

おー怒ってるね。さて、どうしますか…………ハッ!いいこと思いついた。別の大陸の大国の姫っていう設定で相手したらいいじゃん。立場も分からせられるし、何よりその余裕そうな顔ぐちゃぐちゃに歪ませたいからね。私ってば天才かも。フフフフ(ニチャァ)


 

 「あら自己紹介がまだでしたね。私はフルール・ヤマト・ジャポニカ。ジャポニカ帝国の第一皇女です。まあこの大陸にある国ではないですが。こっちでは助けていただいたガブリエル伯爵家で社会勉強のためメイドをやっています。」勿論そんな国なんてありませーんw


 「ちょっとどういう事!?(小声)」

お嬢が囁いてきたぞ。あっ、ダメです。その視線可愛すぎます!!

 「口裏合わせてくださいなんでもしますから(小声)」

あっ、引き下がってくれた



 半信半疑になりながらもムカツクーナは聞いてきた

 「それを証明するものはあるのか?見たところただのメイドにしか見えないが」


 不味いどうしよう。そんな物無いんだけど。よし助けてー神様ー!

『何ですかぁ?今忙しいんですけどぉ?』

『何にか皇族だと分かるようなものを神様パワーで作って、私に身に付けるようなこと出来ますか?』

『出来ますけどぉ、後で説明と、何でも一つ言うこと聞いてもらいますからねぇ。無から有を作るのってかなりエネルギーを消費しますからぁ』

『背に腹は変えられない!」

『ほーい、じゃあ純金で作った桜のペンダントを貴女の首にかけるようにしますぅ。3、2、1、ほいっ。じゃあ頑張ってくださーい』

おっ?きたぞ。って重っ!?そしてデカ!?(約半径5cm程)

なおこの間0.5秒である。恐ろしく早いね私じゃなきゃ見逃しちゃうね



 「ええ、持ってますよ。これで良いですか?」

私は今世にはちゃんとある『胸の谷間』から純金のペンダントを取り出した。見た目は家紋の釜敷き山桜とそっくりです。線が細いから折れちゃいそう。



 「……どうやら本物の純金のようなものようですね。どこにある零細帝国か存じ上げないですがそれなりに国力はあるようですね」と嘲笑しながら言ってきた。

おい、それ私が本物だったら、国際問題だぞ!コイツぁ一回シメないとな。


 「へぇ、私の国を馬鹿にするんですか?まあ貴方のような『雑魚』が天才なんて言われるぐらいなら、うちの国は雑魚じゃ無いですから。」

クスクスと笑いながら言ってやったぜ!おー怒ってるねw


 「なら、俺が直接お前に力を見せつけてやる!!決闘だ!」

一番楽な方へ誘導できましたね。プライドの高い馬鹿は御しやすいです。


 「ええ、勿論。貴方のような『雑魚』に舐められたままでは堪らないですから」





 「では私が見届けましょう」



 お?誰だ?この国に黒髪黒目なんて珍しいな。かなり美人で胸も……私よりデカいだと……しかも黒のドレスなんて全身黒じゃん。あの二刀流の「スターバー○トストリーム」の人かよ

……あれ?確かこの国に置いて黒髪黒目って王族だけだったような?まあ良いです利用できるものは利用します


 

 「黒髪黒目という事は、貴女は王族ですよね。」



 「ええ、私はマルメア王国第三王女『リリー・ウィア・マルメア』です。この勝負私が見届けましょう」と優等生らしさ全開にしながら宣言した。



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