第8話 ドキッ♡女だけのスイーツ会 ポロリは無いよ



 拝啓、前世の両親へ、異世界のスイーツ普通に美味しいです。って言うか殆ど一緒です。地球だと昔のスイーツは甘くないのが多いと聞きましたが、こっちはすごい絶妙な甘さを保っています。もしレシピを覚えれたら天国で作ってあげます。

                   敬具


                   瑞希




 

 ル・テリブルの店内は一言で説明すると貴族の屋敷みたいな内装でした。まあ実際に貴族の屋敷内は見たことないけど。小物から家具まで貴族を意識しているとのことらしい。

 これなら本物の貴族は行きやすいと思うし、平民がちょっと贅沢をして貴族の雰囲気を体感できるようになっていて、どの層に売りたいかが明確に表れていて、しっかりマーケティングされています。

 それとこの店の従業員はメイド服で働いています!!!地球でメイド喫茶って言っても顕色がないほどクオリティが高いです。高校時代バイトでメイド喫茶で働いていた私から見てこの店の評価は5点満点中4.6あたりある良い店です

 ……えっ?私がメイド風に何か言って欲しいって?…ゴホン「お帰りなさいませご主人様♡」これで満足か?あ゛ぁ?全く精神年齢四十路に言わせんじゃないよ。





 「さて、早速頼みましょう。すみませんこの苺タルトとチョコのムースをください」(この二つで価格大銅貨3枚である。日本円にすると約3000円)


 「私も同じものください」考えるのめんどくさいから同じのでいいや。そんなにスイーツ知らないし


 「はい、わかりました5分ほどお待ちくださいご主人様」メイドさんは恭しく頭を下げて去って行った




 「さてまず言っておきたいんだけど、私が男装しているってことは黙ってもらえると助かるな」


 「ええ、分かってますよ。ついでにガブリエル伯爵令嬢だって事も黙っておきますね。」


 「…へーそこまで見抜けたんだ。」

一度ビクッとした後に品定めするような目で見てきた

 

 「そりゃぁ簡単ですよ。まず立ち振る舞い的に豪商ではあり得ないなと思ったので除外して、そしたら貴族しかないですし、その銀髪はガブリエル伯爵家の目印みたいなものですし、何よりこのあたりの貴族はガブリエル伯爵家しかないじゃないですか。って言うかよくそんな変装で隠せてるって思いましたね。せめてその髪なんとかしといた方がいいですよ。染めるなり完全に隠すなり」


 「うっ、そこまで言いますか?分かりました。今度からもっと隠すようにします」


 「気をつけて下さいよ。貴族の娘だと知られたら何されるか分かんないし、身に危害が及ぶ可能性もありますから」

 紅茶を啜りながら喋るのって良くない筈だよね?あれ違った?まあいっか。ていうかこの紅茶美味いんだけど。さすが平民がたまに贅沢しに来るだけはあるね


 「まあバレているけど改めて自己紹介を、私の名前は『ブラン=ガブリエル』年齢は16歳。ガブリエル伯爵家令嬢にして冒険者の時はガブと名乗っているわ」


 「ご丁寧にどうも、私はフルール15歳にしてウィル村のメアリーとエイギルの娘です」


 「お待てせしました。苺タルトとチョコのムースお持ちしました。ご注文は以上でしょうか?」


 おっナイスタイミング


 「はい、ありがとうございます」


 「それではごゆっくり」



 では実食!まずは苺のタルトからいきましょう。…ふむふむ甘さが控えめでほんのりと酸味があるね。バランスがいい甘さに仕上がってるね。下のタルト生地もサクッとしていてこれだけでも楽しめちゃうね。評価5点満点中4.1ぐらいかな。もうちょっと器に凝っても良かったと思う。はい次、チョコのムースいきます!…ふんわりとした感じでこちらも甘さが控えめ、しかもチョコの香りがなくなってない。これは高評価でしょう5点満点中4.5点です


 

 「ふう、美味しいですね。たまに通ってるのでよく知っている筈ですが、毎回新鮮な気持ちで食べられます。ところであなたは私が貴族だって知っても態度を変えないんですね」


 「そりゃあ平民に優しいガブリエル伯爵家だからですよ。“普通”の貴族だったら頭下げてますよ」ハイッここ重要。普通のだからね。平民を道具だと思っている貴族テメーはダメだ

「それにこれを機に一緒のパーティ組めたらいいなって思っていますし」


 「パーティですか?別に私と組まなくてもいいじゃないですか?」


 「いいえ違います、まず私は近距離攻撃を捨てているので近距離アタッカーは欲しいです。また女性である事これも譲れないですし、後単純に好みのタイプなので」


 あらら私のせいでガブ完全に思考停止しちゃったよ。てへぺろ(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)


 「……ゑ?好みのタイプ?まさかギルドで言った事本当なの?」


 「はい?そうですよ言ったじゃないですか、私女性しか愛せないので」


 「いや、その、ちょっと、ああうん。そう言うことね」ガブは腕で自分を抱きしめながら言った


 「何ですかその反応。私だって傷つくことあるんですよ。」ムスーとした顔で言った

 

 「いや女性から好意を受けたことがなかったのでつい…」


 「まあいいじゃないですか。世の中いろんな人いますから。それで私と一緒のパーティ組んでくれますか?」


 「うーん…組んであげたいのは山々なんですが、私はもう少ししたら花嫁修行のため冒険者引退して貴族学園に行く予定なんです」


 what?え…結婚するってこと!?そんなの世界の損失じゃないですか?ここは私が嫁(夫でも可)として貰おうって思ってたのに。折角同性婚も認められてる国に生まれたんだからタイプの子と結婚しようと思っていたのに……よし事故って体でその貴族の事殺っちゃう?そこで私が慰めてハートをgetそしてそのままゴールインしちゃうか…いや待てよ、例え相思相愛だとしてもたかが平民に令嬢を結婚させるのは考えにくい。という事は私が貴族にならなくちゃいけない!どうすればなれる?功績を挙げればいいか(混乱中)。けどこのマルメア王国周辺は300年ぐらい戦争がないし平和なんだよな。これがテンプレ通りの異世界なら魔王軍の幹部やらなんやら倒して功績を作るなんて事もできたのに。はぁ〜肝心な時に使えない異世界だな。…待てよ側付きのメイドとして雇ってもらえれば限りなく近くに居られるじゃん。それってもう事実上の結婚みたいなもんじゃんね?(迷走中)勝ったッ!第3部完。よしそれで売り込もう(注 この間約0.1秒である)


 「それじゃあ私を側付きのメイドとして雇って下さい。一応冒険者なので荒事にも対応できますし、私のスキルは斥候”にも“使えるので貴族間の情報入手にも使えると思います!あと暗殺もできますよ。それに一時期メイドとして働いていたことがあったので役に立てるかと」

 前世だし嘘は言ってないよ。いやぁ前世があるってほんと便利。暗殺は突然遠くから何かが飛んできて直撃するとか。なんでしょう、例えば460mmのナニかが飛んでくるのかもしれません


 「へぇ…斥候にもか。それも暗殺もか…ちょうど私の結婚相手は黒い噂が絶えない。ちょうどいいじゃない。よしどのぐらいできるのかテストをしてみよう。それで貴女を雇おうか決めようじゃないか。仕事の内容は、表はメイド裏は密偵だねこれでいいでしょうか?」


 「バッチリですよ。私の冥土術篤と見せてあげます」メイドじゃなくて冥土ね


 「それじゃあテストは一週間後の午前9時から集合はこの店の前でいい?」


 「わかりました。それじゃあもっとケーキ食べましょ。なんだかお腹空いてきちゃいました」


 「分かったよ。…それにしても、もしメイドとして雇われたらあの宣言どうするの?」


 「……あっ…まあメイドとして働きながらということでお願いします。」ヤベッ、どうしようこれでいけるかな?


 「まあいいでしょう。その代わり雇われてメイドとし働いている時は偽名を使ってもらいますがいいですか?」


 「分かりました。なんか私っていつも締まらないですね」


 「そうかもしれないですね」





 こうして "ドキッ♡女だけのスイーツ会 ポロリは無いよ"は終わったのである





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