第2話 後悔

琴梨視点—


なんでよ!

こんな可愛い私に別れようなんておかしいわ。

きっと近いうちに「よりを戻そう」なんて言って泣いてくるに違いないわ。

初めはそう思っていた。


翌日

(授業中)


「チラッ」

「………」

「チラッチラッ」

全く反応がないようね。

まぁたった一日だもの、もう少し日にちが経てばそっちからくるだろうし気ままに待っておこう。


一週間後

おかしいわ。

全く謝ってくる気配がない。

しかも楽しそうに他の人と喋ってるし⋯


いや、きっと今は反省中だわ!


一ヶ月後

「んんっ、ヒック」

私は自分の部屋にこもって一人で嗚咽を漏らしていた。


「なんでぇ、なんで帰ってこないのぉ」

私がようやく彼はもう帰ってこないことに気づいた時はもう遅かった。


いつも悲しいことがあった時は彼がそばにいてくれた。


けれどもうそんなことはニ度とない。

そう思うと余計悲しく、苦しくなってくる。


どこから間違っていたのだろう。

私が勝手に私たちは誰にも引き離されないと勘違いして安心していた時だろうか?

それともその安心から冷たさが出た時からだろうか?


はたまた最初から間違っていたのだろうか?

ただ今誰かに教えられなくたってわかる。



「君は、私の後悔だ」



鈴木裕太視点—

「…⋯⋯」

眠れない。

夜中にこうして起きるのは何度目だろうか。


心当たりはある。

まだ好きなはずの彼女と別れた。

でも仕方がない、俺の力が足りない。

彼女が俺のことを好きになる程の魅力が俺にはなかった。


それだけだ。


未練とは何なのだ?


「あきらめ切れないこと」


だそうだ。


だからこれは心残りでも未練でもない。

きっとこの気持ちは—


まだ好きなんだ。


人によっては「それが未練だろ」

と言いたい人もいるだろうけど俺はこの気持ちをそんな一言で片付けたくない。


最後の理不尽な抗いかもしれない。

けれどもやっぱりどこか彼女が居なくなた穴が埋めれてない気がする。


もし将来彼女以外の妻が居て、子供が出来たとしても、きっと僕はいつまでも、もしかしたら死ぬまで思うかもしれない。



「君は、僕の後悔だ」

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