1章 ある少女の高校生活
1話 ある少女の入学式の朝
〈2032年4月6日〉
ピピピピピピ―――
(うぅ……もう朝か。……まだ5時30分だしあともう少しだったら寝ても大丈夫だよね)
私は少し寝ぼけながら目覚ましを止め再び深い眠りについた。
「――すか、起きて明日香、もう遅れちゃうわよ」
どれ程の時間が経ったか分からないが、誰かに体を揺さぶられ私は目を覚ました。ベットの横を見るとお母さんが鬼ような顔をして私の体を揺らしていた。
「お母さん……どうしたの?」
私はまだ少し寝ぼけており何が起こっているか分からなかった。
「ちょっと、あんた何言ってるの。入学式遅れるわよ」
「えっ?」
慌ててすぐ横にあった時計を見てみると時計は7時50分を指していた。学校に行かなければならない時間である8時20分まで残り30分しかない。
私はバッと布団をめくりあげお母さんに言った。
「どうしてもっと早く起こしてくれなかったの! これじゃあ入学式に遅刻しちゃうよ!」
「何回も起こしたわよ。だけどあんた『うん……うん……』しか言わないんだもの」
(あぁぁぁ、嘘でしょ、完全に寝ぼけてた)
「お母さん、わかった、私が悪かったから1回部屋から出てって。着替えるから」
私は強引にお母さんを部屋から出しハンガーにかけてあった制服を急いで着た。
制服を着たあと私は、下に降りお母さんから渡されたおにぎりを食べ歯磨きや髪のセットも完璧にし。私は玄関へと向かった。
「明日香、9時に式場に行けばいいのよね?」
「そうだよ、9時に式場。もしかしたら少し早めに着いてた方がいいかも」
お母さんに式場に来てもらう時間を伝え、私は勢い良く玄関から飛び出した。学校まではあまり遠くないが新しい革靴のせいか走りずらく、思っていたよりも遅く学校の校門の中に入ることになった。
何とかチャイムの鳴る5分以上前に校門に着いていた為、私はその場で膝に手を置いてちょっとした休憩をとった。その時、後ろから「あのー……」と言う声が聞こえた。最初は自分に言っているのでは無いと思い無視していたものの肩をポンポンと叩かれた為私は振り返った。
「あの、貴方もこの高校の新入生?」
「えっ、あっ、はい。そうですよ」
(急に話かけられたけどなんだろう。この人も私と同じ1年生なのかな? それにしてもこの人可愛いくて綺麗だなー)
「あの、もし良かったらなんだけど一緒に校舎に入らない? 少し緊張しちゃって……」
「あぁ、良いですよ。行きましょう」
(一緒に校舎に入ろうって……変なの)
私は少し不思議に思ったものの彼女と一緒に校舎へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます