私の章 外にいる君たちへ

0406話 救う為なら……

 

 〈2036年4月6日〉


 ピピピピピピ―――


(うぅぅぅ……)


 目覚ましがなり私は目を細めながら目覚ましを止めた。

「はぁ……眠い」

 昨日の実験のせいか私は普段より疲れが残っていた。


 しばらくベッドの上に座りボーッっと壁を見つめ私は、洗面所に顔を洗うためベッドから立ち上がった。


 1人、この薄暗い施設に1つの足音だけが響く。


 しばらく歩き、私は共有洗面所に到着した。共有と言っても使うのは私1人だけだ。


 チョロロ―――


 蛇口を捻り私は顔を洗う。


(いつもより水が出てこないな。まさかもう貯水槽の水が無くなってきたのかな。)


 この施設の水道は、恐らく貯水された水を使っているためいつか水が無くなるだろうとは思ってはいたものの、まさか、こんなにも早く無くなり始めるとは思っても見なかった。


「はぁ……節約しないと」


 私は、洗面所から出て大食堂へと向かった。大食堂も私1人しか使わないためとても寂しい気持ちになる。


 食堂に着き私は、昨日食べ残した乾パンを食べ始めた。最初は美味しく食べ続けられていた乾パン生活も、今となっては飽きてしまい最近では他の食べ物の食感や味まで忘れてしまう程になってしまった。


 時々乾パン以外の保存食を食べているものの、それらの保存食は元々数が少なく誕生日や乾パンを見る度に吐き気がするような時に食べている。


 その為、この施設に入ってきた時よりも恐らく体重が少なからず減っているだろう。


「はぁ……またパサパサだぁ……」

 

 (全く、今は水を節約しなければならないのになんでこうも喉の乾く物しか置いていかなかったの。本当に設計者はバカなんじゃないの。)


 私は日頃のストレスからか、いつも以上にこの施設に対しての愚痴を思っていた。


 ◆◆◆◆◆


 乾パンを食べ終えた私は、また実験室へと向かった。


 それにしても、この力を使った実験の資料が見つかって良かった。


 あの資料が本当なら、この実験で君たちも、この町も、そしてこの世界さえも……いや……違う。


 私を救うことができるのだ。


 だからこそ私は、今日も1日中実験室に閉じこもるのだ。

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