蝶が姿を消した理由
群青の瞳は、蝶の力を宿す者の証だ。
いや、正確には蝶ではなくクロクスの花の力と言われている。
クロクスの花と蝶はどちらも大陸の北に多く存在している。
他の動物は近付けない地だ。
クロクスの花には幻覚作用があるが、餌の少ない蝶たちは主にクロクスの花の蜜を吸って生きていた。
そうしている内に、蝶は徐々に体内でクロクスの花の力を蓄積していった。
そして蝶自身が幻覚を見せられるようになり、やがて幻覚を具現化できるようにまでなったのだ。
その当時、蝶は人間を含めたあらゆる存在と友好的だった。
その力は衣食住だけに留まらず、科学にも応用され生活を豊かにしていった。
そんな中で、ある研究者が蝶の力について研究を始めた。
そこで、蝶の力がエサである花の蜜を吸うことによってもたらされるものだと分かった。
研究者は思い立つ。
花が手に入らずとも、蝶を食せば人間にも力が宿るのでは?
当時、蝶と人間は友好的であった。
研究のためと言われれば、蝶たちは快く研究所へと赴いた。
そして、蝶たちは研究者たちから捕食されるようになった。
蝶たちが気付いたとき、研究は既に終わっていた。
世界中で手厚くもてなされていた蝶は、世界中から狙われる立場となった。
蝶たちに居場所はなかった。そして大陸の北へと逃げ帰り姿を消したのである。
だが、研究者の中には既に蝶の力を持った者たちもいた。
彼ら、蝶の力を持つ者たちはフリンデルと呼ばれている。
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