第58話 解決策とメンバー制度

 買い占めが起こる可能性。この解決策がなかなか思い浮かばず、1度視聴者の意見を聞いてみることにした。


「なるほど、だいたい状況が理解できました。こちらとしては、毒龍の血を安く売り出すのは構いません。


 しかし、ショップで売りに出すと転売や買い占めが起こる可能性があるので、どうみなさんに届けたらいいのか思いつかず困っています」


『なるほど、買い占めか』

『確かに起こりそう。事情を知らなかったら、絶対買い占める自信あるもん』

『それな?だって言っちゃえば宝の山だぜ?』

『ね。それを安値でいいって言うヴァリアンいい奴すぎ。普通に定価で手に入るだけでもありがたいもんだろ?』

『しかし、どうしたら解決できるかね』

『さっきBランクになってたし、メンバー制度使えば?私、農林ギルドの偉い人からメンバー制度で野菜買ってるんだけど、めちゃくちゃ便利だよ』

『うわ、天才おった』

『天才乙』

『メンバー制度ね。その手があったか。』

『確かに、あれなら買い占めも転売も無理だし、ヴァリアンにもしっかりメリットがあるな。』


 なるほど、メンバー制度があったか。


 メンバー制度を簡単に説明すると、有料会員制度のことだ。ファン登録は無料会員で、メンバーは有料会員のようなもの。


 ファンとメンバーに大きな違いはないが、金を貢いででもその配信者を応援したい。そういう人が金を払って入会するものになっている。


 メンバーに入会するメリットとして、たまに配信者からメンバー限定でアイテムが配布されたり、限定の配信や情報を受け取ることができることがある。


 そして今回は、このアイテムを配布する制度を利用し、毒流の血を売ると言う作戦になっている。


「メンバー制度! その手がありましたね。それでは、第3メンバー特典として、毒龍の血を付けておきます!


 メンバー登録したいけど、毒龍の血は必要ないよ! そういった方は、第1、第2メンバーの枠で登録していただけるとありがたいです!


 それから、第3メンバー登録後は、メンバーやファン登録を解除していただいても構いません。


 それと、値段は相場の10分の1の3万ゴールドに設定いたしました。3万ゴールドなら、ほとんどの人の手に届く値段になっているかと思いますので、早く病気が治ることを願っています! 


 それでは、今回の配信は以上で終わりたいと思います! ご視聴ありがとうございました!」






「ふぅ……」


 配信を終えた。メンバー登録が殺到しそうなので、すぐにでも毒龍の血液を採取する作業に移る。 



【吸血鬼】



 方法は簡単で、ショップで大量にガラス瓶を購入し、そこに吸血鬼の操血スキルで血を詰めて行くだけである。


 



「よし、全部採取し終えたな。」


 治療薬1つ作るのに、毒龍の血は200ml必要なそうなので、ガラス瓶は200mlがちょうど入るサイズのものを選んだ。


 そして、血を注いでいくと100個のビンが血で満タンになった。どうやら、血は全部で20Lもあったらしい。


血液の量は体重の13分の1と言われているので、この毒龍は260kgもあったらしい。


 どうりで、拘束から逃れようと足踏みする度にズシズシ言うわけだよな。


 まあそれは置いておいて、この20Lの血全てが売れた場合、えっと、3万×100だから……300万ゴールド!?血だけで300万ゴールドになるのか!


 そう考えるともっと安く売ってもいいが、あまり安くしすぎても怪しまれそうだし、本来の値段で売買をしている人たちから恨まれてしまいそうだ。


 30万のものを3万で配っているわけなので、すでに結構やばい価格設定な訳だが。そこは目を瞑っていただきたいところだ。


 毒のダンジョン。稼げるのはわかっていたが、ここまでとははな。解毒ポーションを使わなくていいのと、ソロなので報酬を全て独り占めできるのがかなりでかい。ああ、今までの努力が報われた気がするぜ。




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