大学デビューで陽キャになりたいあなたへ 作:或ル凡夫
※注意;この文章はあくまで筆者の独断と偏見によってのみ構成されたものであり、実際の効果や学術的信頼度を保証するものではないことをここに明記しておく。
はじめまして。このパンフレットを手に取ってくれてありがとう、と言いたいところだが昨今のしちめんどうくさい事情を加味してのネット掲載のみとなってしまった。この駄文を読んでくれている未来への希望に満ち満ちているであろう君たちと顔を合わせられないことが残念でならない。
斯く言う私も少し前まではピカピカの一年生だった。諸先輩や同輩たちからは「ギラギラの一年」だの「一年生の風格ではない」だのと散々に扱き下ろされたが、まぁとにかく私だって新入生だったのだ。
昨年の今頃を思い出すと、憧れの九州大学に一年間の回り道を経て合格したその嬉しさと義理とはいえ親の難病の発覚という悲しさとが文字通りぐちゃぐちゃに混ざっていたせいで情緒不安定だった。それでも、灰色だった中高時代からの脱却を夢見ていなかったと言えば噓になってしまう。
結論から言おう。大学という空間は中高以上にコミュニケーション能力が要求される。ホームルームというものがない分、クラスの結束はとても薄くならざるを得ない。クラス単位での授業もほぼ一年の前期までしかない。つまりクラスメイトと親交を深める場がないのだ。じゃあどうやって友達を作るのかって? それを私に聞かないで欲しい。むしろ私が聞きたいくらいだ。使えない先輩で申し訳ないが無い袖は振れないのでご放念いただきたい。
しかし、そんな君たちに朗報だ。我々の代と君たちの代で大きく異なる点がある。そう、fXXkin’ 新型コロナの情勢だ。一昨年並びに昨年度はまさに直撃と言って差し支えなかったような状況だった。だがこのままいけば今年の夏いっぱいである程度の収束を見せるようなそんな雰囲気だ。これは本当に大きなことだということを知っていてほしい。
憎きあいつのせいで我々の代ではクラスでの飲み会といった大規模な宴会ができなかった。そう、宴会である。何かと先輩方と顔が利く(自称)私が繋がりを持つ場は大抵が宴会である。少し前時代的と思われるかもしれないが、所謂『飲みニケーション』というやつだ。こいつはどうしてなかなか馬鹿にできない。別に酒を飲めと扇動しているわけではない。飲酒は二〇歳になってから。立法府との大切な約束だ。「ルールは破るためにある」なんて安い言葉を免罪符に掲げるのもよくない。
閑話休題。
つまり私が言いたいのは宴会という非日常な空間が重要なのだということだ。日本には古来より裸の付き合いという言葉がある。それほどに親密な仲だということではあるが、逆説的に裸の付き合いを経れば親密になれるともとれる。一応言っておくが親密は三密に含まれないので安心してほしい。
こんなクソ寒い滑り芸は措いといて、ここで宴会の話だ。宴会という非日常的な空間は人が心に纏ったベールを攫ってゆくことがある。つまり心を裸にして、包み隠さずに相手と話をすることこそが宴会で他人と繋がる第一歩なのだ。逆に相手が本心を語っているのに自分だけ心を閉ざしていたら顰蹙を買いかねない。考えても見てほしい。温泉でみんな裸の中に一人だけ水着を着たやつが入ってきたら何だか鼻を摘まみたくならないだろうか? ならないという者は温泉への敬意が足りないので全国の秘湯を十ヶ所ほど実習形式で履修してきてもらおう。
閑話休題。
まあつまり何が言いたいのかというと、友達とか飲み仲間とかが欲しいならイベントには参加するべし‼ ってことだ。
「でも、僕(私)話題とか持ってないし、話すの苦手だから……」とかほざく輩がたまにいる。昔の私とかその代表格だ。じゃあ話さなければいい。無理して自分から話さずとも人が集まれば誰か一人は話し始める。その人に相槌を打つだけで良いではないか。自分の趣味の話なんて仲良くなった後でいくらでもできる。最初の一、二回くらいは聞き手に回ってもいいじゃないか。
さて、ここまでほろ酔い気分で気持ちよく書いてきたが読み返すと反吐の出るような青臭い新書や啓発セミナー系と同じ匂いがする。結局私が前述した事々も偶々うまくいったことに後から理由付けしているだけかもしれないし、それは成功者の余裕というやつかもしれない。しかしこれは私の後悔でもあるのだ。結局、一年生だけで集まる機会は一度しかなかった。そしてそれも他学部の集まりに友達の友達枠としてお呼ばれしただけだ。クラスメイトとの親交なんてあったもんじゃない。
私がもう少し勇気を出してクラス会を主催すれば、せめて少し仲良くなりかけていた人たちともう少し積極的に付き合っていれば、そんな後悔ばかりが募っていく。未来の明るいキミたちにそんな後悔を残してほしくはない。ぜひ行動してみてくれ。それで「失敗したぞ馬鹿野郎」ということがあったら九大文藝部の門を叩くと良い。私直々にクレーム対応しよう。飲みながら愚痴のひとつくらいは聞こうじゃないか。昨年の私がそうしてもらったように。
時間を無駄にさせてしまったかね? そうだとしたら申し訳ない。こんな酔っ払いの戯言に最後まで付き合ってくれてありがとう。素面ならばもうちっとはましな文章を書くということを言い訳してこの駄文を締めさせてもらおう。
改めて、九州大学への入学おめでとう。我々九大文藝部はキミたちの入部をいつでも待っている。君たちの学園生活に幸多からんことを。
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