ボロボロな枕の夜に

 最近、夜眠れないなと思ったら枕がボロボロになっていた。

 見た目は変わらないのだが、触ってみて一発で分かった。中の綿がブチブチ千切れていてボコボコになっていたのだ。

 

 横向きに寝ると首筋が張って痛いのなんのって。かといって、ずっと仰向けでいるのもきつい。寝る前にストレッチで全身をほぐしても、朝起きて全身バキバキって一体なんのための休息なのか?


 全身バキバキもだが、それ以上に寝つきがメチャクチャ悪くなった。布団に入っても二時間ぐらい眠れないのだ。いつまで経っても眠れないから、ちょっと本でも読むかって『失われた時を求めて』や『ジャン・クリストフ』のような読むのに体力がいる古典作品を三〇分読んでようやく眠れるかどうか……そんな今日この頃である。


 自律神経のバグも多少あるだろうが、一度考えごとをしだすと止まらなくなるのだ。それこそ、ぼんやりと薄暗い気持ちで、小説のことや一、二年先のことなどずっと考えている。

 こんな精神状態だと見る夢もひどいものばかりだ。

 過去の失敗や不義理なことをしてしまった人から責められたり、ここ一年は身内と縁を切る・切られる系の夢が多い。夢占いによると、自立心、独立心の表れらしいが、これ系の夢は精神的に物凄く疲れる。

 

 僕が地元を離れていまの場所に住むようになったのは、丁度コロナが始まる前だ。もう三年家族の顔を見ていない(一回テレビ電話で話したかな?)

 

 知り合いのいない土地で三年間も一人で暮せば寂しさの一つでも覚えそうなものだが、いまのところ地元に帰りたいと思ったことは一度もない。GW、お盆、年末年始といった一時的な帰省でさえも。

 なにかと物臭な性格だ。コロナがあってもなくても、たぶん帰省していないだろう。


 そもそも僕は、ぬるま湯のような環境を変えたい一心で地元を離れたのだ。その際、色んなものを捨ててきた。

 だから「いまさらどの面下げて帰れますか」って感じなのだ。身内によっぽどのことがない限りは、今後も帰らないと思う。


 ……とまぁ、昨夜はボロボロの枕から少しセンチな気持ちになったが、深呼吸のきっかけにはなったかもしれない。毎日使っている枕がボロボロなことに気づかないなんて、よっぽど心に余裕がなかった証拠だ。


 気分転換も兼ねて、このネタで純文学系の賞に出してみようか(劇団ものの長編は年内いっぱいかかりそう)

 とことん突き詰めていけば、きっと面白いネタになる。

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