突き飛ばされたような感じがして(前編)

 先日ツイッターのアカウントを消した。ほとんど衝動的と言ってもいい削除だった。

『ぼんやりと、薄暗くて』の第一回『青い鳥(Twitter)症候群』で、色々思うことはあってもツイッターを辞めることはないだろうと書いていただけに、自分でもびっくりしている。

 削除からそろそろ一週間になる。少し落ち着いてきたので、削除の理由について考えてみた。考えれば考えるほど理由を思いつくのだが、それらをまとめていくと、概ね以下の三つになった。


①SNSそのものが嫌になってきた

②情報が多すぎる

③周りの人の前進・成功への嫉妬が半端ない


 僕はこれまでツイッターを辞めて再開して辞めて再開して……を何度か繰り返しているのだが、辞めるときの理由はいつも「執筆に専念するため」「無駄な時間をなくしたい」と、自分を追い込むため・ストイックな書き手になるためだった。


 しかし人間、我慢は長続きしないものだ。

 退屈だったりメールの確認などでスマホに触っていると、不意に誰かの声が聞きたくなったり、寂しさを感じたりして、「あの作家さん、今度はどんな漫画にハマったんだろう?」「猫アカウントに癒やされたい」「○○さんが新人賞に出してた作品、選考どこまで進んだんだろう?」と、なにかと理由をつけてアカウントを検索してしまう。


 そして(ま、ロム専ならいっか)と、アカウントをまたつくってしまうわけだ。僕はこれを「家出息子の帰還」と呼んでいる。


 話が逸れてしまったが、ようは「我慢」は長続きしないということだ。

 しかし今回アカウントを消した件に関しては「執筆に専念するため」「ツイッターに費やしていた時間で別のことをしたいから」とストイックな理由よりも、SNSそのものが嫌になった、自分には必要ないと思うようになった、これが大きい。


 攻撃的なツイートや揚げ足取りは見ていて気持ちのいいものじゃないし(揚げ足取りやマウントを取りたがる人は、ここ二、三年で本当に増えた気がする)、胸クソ悪い炎上は対岸の火事であっても心が削られる。


 と、近頃は嫌なものばかり目にすることが多くなった。だから(もうここから離れよう)と思うようになった。

 そしてこれは僕のメチャクチャ悪い癖なのだが、僕はなにかをやめようとするとき、自分の意思はあてにならないからと、物事を根本から【物理的】に絶とうとする。


 一時期オンライン麻雀にハマっていたときも、これは時間食いまくるなと危機感を覚えた日にアカウントを消した(一日一局だけなら……を守れる自信がなかったのだ)

 人間関係にしても、もうこちらから連絡することも、相手から連絡が来ることもないだろうなと思ったら、連絡先を躊躇いなく削除する(以前その話をうっかりしてしまいドン引きされたことがあるので、いまはあまりしないようにしている)


 今回のアカウント削除は【SNSそのものに嫌気が差してきた】+【別に必要ないかなと思うようになった】このセットなので、これまでのような復活劇はもう起こらないと思う(起こらないでくれ)


 また、SNSをやっていると、○○出版社の新刊情報、誰かが面白そうな漫画を紹介している、こういった話があちこちで見られる。

「今度あの本買おうかな」「この漫画気に入ったw」アンテナを張る、好きなものが増える、それ自体はいいことだが、近頃追い切れなくなっているので、ここらで一回情報の波をある程度遮断したいなと思うようになった。

 第六回『星のノイズ』でも書いたように、世間の評判や周りの声ばかり参考にして作品を選ぶようになると、《だろうレーダー》が鈍ってくる。これが怖い。


(後編に続く)

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