話し相手のようなもの

『硬直世界』(第二回)を投稿してからというもの、僕は以下のことを考え続けてきた。


「自分は一体なにが好きなのか?」

「好みの傾向自体が変わってきたのではないか?」


 色々と考えてみたところ、ある答えが見つかった。

 どうやら僕は小説の評価軸が


【話の語り方】>>>>>【話の内容】


 こうなってきているようだ。

「どんな話か」よりも「どんな風に語るか」


 僕が言う語りとは「人称、構成、文章の上手い下手」といった表面的なものではなく、語り手の声の大きさ、話のテンポ、どこで、何人に向けて話しているか――【見えるけど見えないもの】これである。

 ※この場合の語り手は、文章を指す。

 

 僕は、シリアスな表情で話す人が好きだ。語り手の美学・哲学が自然と感じられる――でも押しつけがましくはない――そういう話が好きだ。

 

【話の語り方】>>>>>【話の内容】

「どんな話か」よりも「どんな風に語るか」


『硬直世界』を書かなかったから、たぶんここまで言語化できなかっただろう。そう考えると、『ぼんやりと、薄暗くて』は意外といい自己分析になっているようだ。

 なにはともあれ、長年のモヤモヤが解消してよかった。



【おまけ】語りが好きな作品


『虚空遍歴』山本周五郎

『千年の祈り』イーユン・リー

『十九歳の地図』中上健次

『みんないってしまう』山本文緒

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ

『リヴァイアサン』ポール・オースター

『ストレンジボイス』江波光則

『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアック


 とりあえずこんな感じだろうか。

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