第6話-プロローグ編-

ニンニクの代わりに乗せたクレソンもどきの龍の角肉は控えめに言って超絶美味かった。


沢山あった肉は気付けば完食し、代わりに膨れた俺の腹。ついつい下っ腹を撫でながら、手にしたのは



あの龍を退治した際出てきたコア《核》である


禍々しくも赤黒く毒々しい。


大きさは拳くらいだろうか。両手で握り込んで手のひらに収まるかどうかというくらいの大きさに、自然と眉が寄る。




『重いし収納バックの幅とるし、いーらない』


コアを潰せば魔物は死ぬが、コアを潰さなくても死ぬ。ただコアは魔物の弱点と言われ強弱により大きさも異なる。まぁ、何が言いたいかと言うと…


強敵を前にした場合、絶対と言っていいくらい冒険者はコア《核》を狙う



一撃で沈めるにはコアがオススメだし。1分1秒が生死をわける。そのせいも有り、上位のモンスター・魔物のコアは高額で取引されるらしい…


のだが、


『コアは食べれないし必要ないんだよね。さ!次は何処で食料調達しようかなぁ』





ダンジョンの最下層から少し離れた、第二層で料理をしのんびりしていた場所にコアを捨て、


荷物を纏めるのだった。













「え!?あの雷神龍ナルハタタヒメの討伐引き受けるんですか?」


「あぁ。らしいねぇ。ま、国のお抱え騎士団が動くから大丈夫じゃないかな」


「えぇ…でもマスター、ドクロマーク沢山ついてますよ?」




中心都市にあるとあるギルド商会の受付では、休憩がてら3階から降りて来たギルドマスターと受付に立っていた受付嬢がある話題で盛り上がっていた。




「ドクロが付いていようが、難易度が高かろうが騎士団は嫌でも上の連中には逆らえない。


まぁ国の為に死ねるなら本望だっていう馬鹿も多いくらいだし、うっかり死んでも文句言えねぇさ」



「…えぇ、それはさすがに…ちょっと」




無精髭を無造作に撫でながら皮肉を言う男、マスターは何やら思うことがあるのか


命をモノみたいに考えやがって、


と、小さく呟いていた。




「まぁ、あれだな。俺は雷神龍ナルハタタヒメが討伐されない、に全財産掛けてもいいぜ」






そう小馬鹿にした男が、既に別の人物に雷神龍ナルハタタヒメが狩られたことを知るまで…


後4日。

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