第5話-プロローグ編-
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ブレスに入る前、一瞬だけ身体が青白く光る
龍すべてが同じ癖を持っているのかは知らないが、こちらの体勢もある程度立て直し、前もって準備が出来る。
『–––––––––––風の子守唄』
手にした魔法の炎で出来た弓を解き、指で空に向かって五芒星を描く。口にした言の音は日本語ではなく、こちらの世界の言葉である。
ダンジョンの最下層ということもあり自然の風は吹かないのだが、なんでもありの異世界なだけあって唱えれば大体の事は叶うらしい。
どこからともなく風が吹き、俺の頬をひと撫でした後
ブレス体勢に入った龍の体を包み、
そして、
肉の角切りよろしくな状態で、気付けば龍らしきものは唯の肉片と化していた。ここ迄の出来事コンマ1秒である。簡単に説明すると『風の子守唄』で上空を飛ぶ龍を、風圧で切り刻んだ…、と説明したらご理解いただけるだろうか。
もちろん、宙を舞っていた龍が突然切り刻まれたわけだから肉は下へと落下する。
『おわっ…とっとっと、』
ぼとぼとと地面に落ちる前に、慌てて重力操作し
全て綺麗な状態でタッパーに入れた俺は、
『材料ほくほくだぁ。今日の夜ご飯は角煮かなー』
かいてすらいない汗を拭いながら、満面の笑みで最下層雷神龍ナルハタタヒメの部屋を後にした。
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ギルド受付にて、1人の受付嬢がある1枚の紙を見て首を傾げた。
「雷神龍ナルハタタヒメ討伐50億…50億、ねぇ。
そんな大金積まれても死に急ぐクエストなんて…したい人なんているのかしら…」
クエストランクはかなりの高難易度で右上には髑髏マークが10個も並んでいた。一応ボードに張ってはいたのだが風で飛ばされたのだろう。ひらり、と受付机に落ちる様にしてその紙が載る。
「まず龍を人間が倒せるわけないのよ」
そんな呟きは誰の耳にも届く事はなかった。
いやいや。いるんですよ。龍を食料とか言っちゃった頭のヤバい奴がね。どうやらそのヤバい奴は本気で龍の肉を煮込んで食べる…らしい
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