第25話師匠なんですか
「審判はモルトな」
「え!僕ですか!」
「お前が強いと言い出したのだろう」
「分かりました」
そもそも言わなければこんなことにはならなかったのに。
モルトに今日勉強教えるのをやめようかと迷った。
「それでは始め!」
「来ていいぞ」
分かる。今攻撃すると負ける。
この人は隙がない。
まるであの人のようだ。
「はぁ!」
打撃より足技の方がいいと思った。
二段蹴りをする。
けど腕で防がれた。
「す、すげぇ」
周りの声が邪魔になる。
「お前はそれが得意だな」
悪手だったかもしれない。
「頑張れ!」
毎日聞いている声がする。
見るとカナリア様がいた。今は授業のはずじゃ…
抜け出してきたのかも。
「はい!」
「幸せになったのか」
ボソッと何か言われたような気がしたが関係ない。
「足技の次は打撃か」
慣れない動きをしつつ、
「!」
手首を持った!
動きがめちゃくちゃだったがしょうがない。
殴るっていうのは好きじゃないからね。
後は引きつけるだけ!
「甘い」
すると先生が払いのけ、くるっと回る。
そのまま腕を持ってかれて
背負い投げをされた。
異世界でも背負い投げってあるの?
「この勝負カーラー先生の勝ち!」
一斉に拍手が湧き上がった。
「どっちもすごい!」
「見ててこっちまで緊張したよ!」
「クラスで1番だな!」
「おーい。お前らは感想を書いてもらうからな。明日提出だぞ。」
「えーー!」
チャイムが鳴った。
「ありがとうございました!」
「あ、レンは残れ、話がある。」
「分かりました」
何だろう?
「それなら私もついていきます」
「カナリア様!?」
「そうですか。まぁあなたにとっても大事な事だと思うのでついてきてください」
「カナリア様、お昼は大丈夫なんですか?」
「カーラー先生と話しておきたいことがあるので」
「そ、そうなんですか」
「そちらにお座りください」
「ありがとうございます」
会議室みたいな場所に来た。
「単刀直入に聞きます。レン・アメスト、あなたは転生者ですか?」
え…なんで
「なんで分かったのですか」
転生者とバレたらちょっとめんどくさくなるってカナリア様が言ってた。
アメスト王にも言ってないことを…
口を開いたのはカナリア様だった。
「あなたも転生者だからですよね?」
「え!?」
転生者!?カーラー先生が!?
「前世の名前を伺っても?」
「後藤連といいます」
「やっぱりか…」
急に先生が泣き出してしまった。
「先生大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ連。お前の師匠だからな」
「それって…」
「私の前世の名前は長谷川直也。お前の師匠だ。」
この不器用な笑顔も
「師匠〜!」
しばらく抱き合って泣いていた。
約15年ぶりに会えた。
もう永遠に会えないと思ってた。
「第二王女様はうすうす気づいていたのではないですか?」
「そうなんですか!」
「確証が持てたのはあなたの背負い投げですけどね。あれは武術に優れた転生者しか使えないと言われてますから」
「あれはコツさえ掴めば簡単にできますよ。それより連、お前幸せみたいだな」
この人にもう一度会えたら言おうと思っていた。
「はい!めちゃくちゃ幸せです!」
思いっきりの笑顔を師匠に見せた。
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