第8話カナリア様の秘密
「あなたは誰なの!?」
「分かりませんか?アレルラ公爵の奥様。
まぁあなたに名乗りたくないので。おとなしく捕まってください。」
「なんであなたなんかに!」
「虐待及びアレルラ公爵と共謀して横領した罪があるので」
と言った瞬間、5人くらいに囲まれて取り押さえられている。
「羽織る?」
羽織らされたのは黒い軍服のジャケット。
「あ、ありがとう」
痛さがまだ残る。
そしてまたカナリア様に迷惑をかけてしまった。こうなったら捨てられても文句などない。
けど…
「ほら。泣かない」
と被っていた黒い軍帽を深く被せられる。
スカイブルーの髪と琥珀色の目が綺麗に見える。
「一旦あっちに行こう?」
「は、はい」
行こうとすると
「あんたなんかすぐに捨てられるからね!ざまぁみろ!」
奥様に言われる。
そんなのはもう分かっている。
これだけ迷惑をかけたのだから。
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私はあれから2人で馬車に乗って帰っている。
あの後着替えさせ、家族は全員捕らえたと言うと
「迷惑をかけてしまい申し訳ないです」
あまりの他人行儀にびっくりした。
今も終始無言。
思えばもともとは1日で連れて帰る予定だったのに3日も延ばしてしまった。
レンくんなら大丈夫だろうと思ってしまった自分が憎い。
この人はいつもストレスなく過ごしていると大きな勘違いをしていた。
ストレスとかをもう超越した状態である。
笑顔という仮面を被って誰にでも接してきたと思う。
そんなことにさせてしまったのも
早く行動に移さなかった私が悪い。
レンくんが帰った翌日、
姉様の夫である総隊長に報告して実行させようとしたが
「証拠が足らない。」
そもそもあなたは裏の部隊だから活動のことをレンくんにバレるとまずいのでは?
と言われた。
私が婚期であるのに誘いを全部断れたのは私が軍人であると言ったから。
自分より強い人と結婚したくないという貴族は多い。
だから大抵は断れた。
けどレンくんは唯一の好きな人だから言えなかった。言ったら破棄はできないけど、嫌われると思って。
それでも助けるには必要な手段だった。
だからその覚悟で徹夜してでも証拠を集めた。
やっと集まって突撃しようとした。
窓から見えたものは壮絶な物だった。
ムチで背中を叩かれている姿を見て正直回転蹴りしたくなった。
抑えきれずに窓を割って入る。
という経緯。
もう嫌われてもいい。しっかり説明しないと。
後、レンくんの精神が心配。
さっきだって他人行儀だったし。あのババァはあんなこと言っていたから洗脳されてないかも。
帰ったらゆっくり話そう。
外を眺めながら心に決める。
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