第5話カナリア様に甘やかされる

数時間本に没頭していて気付けば夜。

「レン様。お嬢様がお呼びです」

「分かりました。ありがとうございます」

「カナリア様、どうされました?」

「レンくん。私は怒っています。なぜか分かりますか?」

「え?いやわからないです。」

「分からないって。なんで殴られてることを今まで私に相談しなかったのですか!学園だけでなく家でもされてきてるじゃないですか!」

「ごめんなさい!許して…」

自然と泣けてきた。あれ?いつもは泣かないはずなのに。

「あ、いやそういう訳じゃなくて、ただ相談して欲しかっただけで。あーごめんごめん怖かったよね。ごめんね」

と抱きしめられてよしよしされる。

一瞬前世のことも思い出して感情がコントロールできなかった。


「とりあえずレンくんに危害を加えたやつ全員許さないですから。これからは何かあったら相談するんだよ?」

「分かりました」

「それじゃあ夜ご飯食べに行こっか!」


連れてかれたのは大きなドアがある前。

「ここは?」

「決まってるでしょ?家族団欒の場所だよ」

ドアが開かれ奥にいるのは王様と皇后様。それに第一王女様まで。

「遅いよ〜カナリア」

「ごめんなさい、姉様。父様も母様も。」

「構わん。今日はせっかくのレンくんの歓迎会だしな」

歓迎会!?

「え?あの!レン・アレルラって言います!」

「知ってるわ。」

皇后様に言われる。

知っているとは?

「あれ?カナリア言ってなかったの?ここ最近ずっとレンくんの話ばっかしてたこと。」

「え!?」

「え!内緒って言ってたじゃない!」

「だってあまり話さなかったカナリアが話すと思ったら、ねぇ?」

皇后様と第一王女様にからかわれている。

正直に言うとかわいいです。

「そこら辺にしときなさい。レンくんも困っている」

「そうね」

「座って座って!」


「はい。あーん」

「カナリア様。ここでされるのはちょっと…」

「いいじゃない!」

「あら〜カナリアも大胆ね」

「うるさい!姉様だって総隊長さんと仲良くしてるじゃない!」

「それは…そうよ!」

「あらあら2人とも落ち着きなさい」

「はい。」

家族ってこういうものなのかな。

「あれ?なんでレンくん泣いてるの?」

隣に座るカナリア様に言われる。

「こういうのが家族なんだって。今まで経験したことがなくて…」

「そうか。それは辛かっただろう。」

「これからは私がいるから。大丈夫だよ」

やっぱりカナリア様が優しいとなると家族も優しい。

幸せ者だな僕は。

逆に幸せになりすぎて怖い。

「今日は良く寝るんだぞ」

「カナリアもあまりレンくんにべったりしないでよ?」

「分かってます!」

王様達と別れた後、

「さっきはああ言ったけど、手を繋いで寝るのは変わらないからね?」

「そうなのですか!?」

「そうだよ。当たり前じゃん。早く慣れてね」

もちろん最初はドキドキしたけど疲れからか一瞬で寝れた。

今日はいろいろあったからな〜








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