第3話僕が婿入り?

「坊っちゃま…」

「爺や。ここは」

「家です。倒れた後カナリア様が手当てしてくれました」

「カナリア様が…」

今度お礼しないと。

「何日たった?」

「一日です。」

とは言っても夜だから1日半くらいだと爺やが言う。

「そういえば、アレルラ様が起きたら書斎に来いとおっしゃっていました。」

「そんなに嫌な顔しないでよ。僕は大丈夫だから」

「本当はこのまま安静にさせたいですが…」

「いいよ。見ての通り元気だから!」


書斎に行くと何故かみんないた。

「レン話がある。」

「なんですか?」

「実はお前の婚約が決まった。」

「婚約!?」

誰と!?

「カナリア様だ」

え?

「良かったな〜。これでお前は王族の仲間入りか〜まぁすぐにお前には飽きられるだろうけど」

「そしたら俺立候補しようか」

「やめておきなさい。せっかくのパイプが、できたのにトラブルはいけません!」

この人達はその事しか考えていないのか

「まぁ本望は第一王女だったが既にご結婚されているからしょうがなくだな」

彼女をそんな目で見ている。いくら父親でも顔面を殴りたくなる。

こんな時に反抗できないのが1番惨めだ。

前世からそうだ。

「偉くお前を気に入ったみたいでな。今日連絡があった。まったくこんな出来損ないのどこがいいんだか」

「きっと捨てやすい旦那を探しているだけじゃないの?」

そうなのかな。カナリア様はそうには思えないけど、もしかしたら。

「さっそく明日会うから準備しておけよ」

「わかりました」

「今日はレンがいなくなるからお祝いね」

あーやっぱりこの家族に取って僕は邪魔なんだ。


朝起きるとメイド達が支度をしてくれた。

今日からは向こうで過ごすことになったらしい。

「坊っちゃま。私は今日見送った後、辞めさせてもらいます。」

「分かった。今までありがとう爺や。喫茶店できたら教えてね。行くから」

「坊っちゃま…」

しばらく泣いた。今まで我が子のように可愛がってくれた僕の味方。

「カナリア様はきっと坊っちゃまを幸せにしてくれますよ」

「そうだといいね」

半信半疑で王城に向かう。

「これはこれはカナリア様!そして王様!この国に栄光あれ」

「栄光あれ」

「こんにちはアレルラ公爵。此度の縁談受け入れてくれて感謝する。」

「いえいえとんでもない。あの美人なカナリア様がまさか私の息子に目をかけてくれるとは」

「さっそくですけど彼の荷物を置く部屋を準備してあるから案内してくるわ」

「そうでございますか。レンついて行きなさい」

表向きはいい父親面をする。


「カナリア様」

「うん?どうしたの?」

「なんで僕を」

「選んだかって?それはレンくんが大好きだからだよ?」

だ、だ、大好き!?

「え、え!?な、な、なんでですか!」

学園でもちょっと冷たいところがあったからてっきり嫌われてるのかと。

「可愛いなぁ〜」

と頭を撫でられる。

え?こんな人だったっけ?

荷物置くと、急にドアが閉められ、そして抱きしめられる。

「もう大丈夫だよ。君はあの家族から解放されて自由だよ」

その瞬間今まで我慢してきたものが溢れ出た。

今まで苦しかったこと、いじめられていたことを話した。その時も

「よしよし頑張ったね」

と言ってくれた。

夢じゃないかと思ったけど、カナリア様の胸の感触から現実だと思う。

「カナリア様…僕を見捨てますか?」

自分でも何を聞いているのか分からない。

けどまた捨てられるんじゃないかという恐怖感があった。

「君を捨てたりなんかしない。君は私のものだから。君は私と一緒にいたい?」

「いたいです」

「なら結婚しよう」

即答された。

「レンくんは私が養うから何もしなくていいよ?」

「さすがに僕も…!」

「まぁそれは後で2人で考えましょ?そろそろ戻らないと」

「あ…」

「すぐにあいつを帰らせて、またイチャイチャしよう?」

「はい…!」

本当にすぐに父さんを追い払った。





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