第一編氷の王女と結婚!?

第1話僕の日常

「まったくお前っていうやつは!なんでそんなにわがままなんだ!」

「すみません」

「今日はご飯なしでいいのじゃないかしら?」

「それはいいね母さん!」

「そうしよう!」

僕はレン・アレルラ。今は絶賛怒られ中です。

僕はアレルラ公爵家三男。とは言っても今の母さんから生まれてはおらず、父さんとメイドの間の子らしい。

本当の母さんは僕を産んだ後、肺炎で亡くなってしまった。

だから今の母さんから見れば僕は邪魔でしかない。

僕の部屋は屋根裏。

ここが唯一家での居場所。

「はぁ…」

今日はパーティがあるらしい。僕ももう15歳になるけど、1回も行ったことがない。

普通は10歳になると行けるみたいだが兄さん達しか行かせていない。

僕は毎回、家でお留守番。


行きたいと言えばさっきの通り怒られ、ご飯抜きにされる。

今思えば前世と変わらない。


前世では僕は後藤連という名前だった。

小さい頃からいじめられ、親には働けと言われ中学生からバイトの日々。

そのお金は両親の物。

高校生になってカラオケにも行ってみたかったがそれも叶わず、ついにはトラックに引かれ…ということで転生したみたいだ。

街の本屋で見たことがあるけど、異世界?

だと思う。


それでも前世と変わらず生きづらい人生。

「お坊ちゃま自分で掃除しといてください。それと奥様からご飯はなしと聞いておりますので」

メイドにもこう扱われる。もう慣れっこだ。


今日は早く寝よう。そうすれば空腹も忘れられる。そう思っていると

「坊っちゃま」

「爺や!」

爺やが上がってきた。

「少しばかり残り物ではありますがご飯お持ちしましたよ」

この人は僕の唯一の味方。

「ありがとう!」

食べていると爺やが泣き出した。

「なんで泣いてるの?」

「だって!まだ坊っちゃまは若いのに私より苦労していて…!」

「苦労なんてしてないよ。もう慣れっこだから」

「私も今年で退職する年齢になりました。

私がいなくなると坊っちゃまが…」

「大丈夫だよ。何とかやっていける。それに退職して街で喫茶するんでしょ?たまに顔出すから」

「坊っちゃま…」

さっきよりも泣き出してしまった。

誰か思って泣けることはすごいと思う。


翌日家族より早く食べて学園に行く。

「行ってらっしゃい!」

いつも見送ってくれるのは爺やだけ。

馬車では行かない。基本歩きだ。

家からちょっと遠いけど歩けば着く。


いわゆる通学路には露店街が立ち並んでいるところがある。

「おはよう!レン様朝早いですね!」

「おはよう!おばさん!」

「おーレンじゃないか!またあのおばさんにいじめられなかったか?」

「見ての通り大丈夫だよ!」

街の人が声をかけてくれる。


リンゴももらってそれを食べながら学園に行く。

着くと僕は教室に行かず、図書室に行く。

この学園は王都ただ1つの学園だから当然図書室もすごい広い。ほぼ図書館。

簡単な小説から学者の論文までたくさんある。

いつも隅にあるソファで読むのがルーティン。

「ごきげんよう」

「おはようございますカナリア様」

そして隣のソファに座っているのはこの国の第二王女カナリア・アメスト。

いつもここで会う。

最初は1人でいたけど、

「隣いいかしら?」

と言われそこからずっと半年くらい続いている。

「そういえばレンくんは昨日のパーティに行かなかったのですか?」

くんは最初から。普通王族は呼び捨てにしていいはずなのにカナリア様はくん付けしている。

「それは…行く気になれなかったからですかね」

「まぁ私が言うことではないかもしれないですが、将来人脈も大切になってきますよ?」

分かっている。僕も本当はパーティに行って友達を作りたい。

けど…カナリア様に1回僕の親のことを言おうと思った。

けどそしたら家はきっと没落までは行かなくても持っている領地の没収やなんかで収入が減りますます僕への扱いがひどくなると思ったからやめた。

カナリア様の負担になりたくないからね。

「チャイムがなりましたよ」

「本当だ。そろそろ行かないと。カナリア様は?」

「私は単位は今のところ大丈夫なので一限は休みます」

「そうですか…それでは」

「待ってください。これでいいですね」

髪についていたホコリを取ってくれた。

カナリア様の方が年上ということもあってちょっと僕より背が高い。

「それでは行ってらっしゃい」

爺やより柔らかな雰囲気がある人に見送られる。

もう1人僕の味方がいるかもしれない。そう思えた。


教室に行くと、

「よう」

早速囲まれた。

「ぐはぁ!」

お腹を殴られた。

「弱いな〜今日も来るのが遅くて待ちくたびれたよ〜」

この人らはクラスが同じ。

位でいえば僕の方が高いが、三男ということでそれなりの力はない。男爵レベルだ。

男爵レベルでもこうやって殴られるのは僕だけ。

目を付けられるのは良く前世からある物だったのでしょうがないと思う。


先生も

「お前ら席につけよ〜」

クラスの人にも無視される。


これが僕の日常。


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