第44話 かぼちゃとおバケの大騒ぎ 16

「この、上に?」

 腕を組んで階段に誘うとルイの手に力が入った。

「?うん、上にも広間があるから。嫌?」

「っいえ!」

「…じゃあ行こうか。」

「っはい!」

 ルイの屈託に気付きながらも早く邪魔の入らないところへ移動したいテオはやや強引にルイを連れていく。

「っ…」

 階下よりは薄暗い階段を上がる。ルイは物音がする度テオに覚えずしがみつく。いつの間にか両手でしっかりとテオの腕を掴まっている。

 テオは嬉しくてそれを黙っている。この柔らかさは…いや、考えるな。

 意外だ。夜の闇に紛れるとかは平気そうなのに、怖いらしい。ああ、怯えてる。物凄く可愛い!

 いけない、働け理性。王太子である自分の正式な婚約者を婚姻前にこんなところの暗がりに引き込む訳にはいかないのだから。

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