第38話 かぼちゃとおバケの大騒ぎ10

 細々とした片付けを終え、天幕や机等の片付けは騎士寮の生徒達が請け負ってくれた。

「さて、お店も終わったし、お化け屋敷、行ってみる?」

 殿下もいらっしゃるわよ?とのアイラの誘いにルイは一瞬固まる。

「っ…そう、ですね…。」

 テオが仮装していると聞いている。見たくないわけはないのだが…。

「ああ!ダメよルイちゃん様!」

「何よ!ちゃんと貴女も誘ってあげるわよ!」

「っありがとう!ってそうじゃなくて」

「…あの、実は…苦手、です。」

 ルイは恥ずかしそうにおずおずと告白した。

 作業中、お化け屋敷の話題になり、そこから始まった怪談披露大会。悲鳴も上がりながらも皆楽しく聞いていて、ルイもにこにこと聞いていたように見えたのだが。結局その後夜になって思い出して眠れなくなり、数日エレノアとフレイヤの寝台に交互にお邪魔するという大層情けない事態になった。この件はルイの名誉のためという大義名分を掲げ、テオには秘密にされている。

「「え、可愛…」」

 恥じらうルイにアイラとイライザの声が重なる。

 そして慌てて周囲を見やる。誰も見ていないことに安堵する。

「入らなくて良いから、近くまで行ってみましょうよ!」

 ノアが魔法で建てたという城。

 そこに僧正寮の生徒らが魔法で様々な仕掛けをして、騎士寮女王寮の有志が驚かせ役をやっていた。

 魔法の城に魔法の仕掛け。アイラとしては携われなかったとはいえ、どんなものかだけは確認しておきたい。

「っそうですね!苦手を克服してこそ…です!」

 ぐっと両手を握って気合いを入れるルイを微笑ましく思う。立派な妃になる、というのが昨今のルイの目標で、それはそれでイライザは複雑な心境だが、一生懸命なルイはとにかく可愛い。

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