第36話 かぼちゃとおバケの大騒ぎ8

 そしてついに来た『お化けかぼちゃまつり』当日。

 朝から様々な仮装をした生徒達がそぞろ歩いている。

 お化け屋敷には長蛇の列。生徒会主導の模擬店のほか、有志の模擬店も賑わっている。

 ルイ達お菓子担当のお店は混乱を避けるため、事前申込と抽選があったのだが、ルイを含む店員達の召し使い風衣装が評判を呼び、一目見ようと客が殺到することとなった。


「…僕も見たい。」

 テオはぼそりと呟く。ルイの召し使い風衣装なんて絶対可愛いに決まってるじゃないか!

 何で自分はこんなところにいるのだろう…。

「次だってぇ、テオぉ」

「ああ、わかってる。」

 テオは仮装して空を飛び回っている。今も先ほどとは違う魔法の衣装を身に纏い空へと舞う。

 死神風だったり黒衣の騎士風だったり、ノアの幻術魔法で次々と衣装を変えられる。

 仮装も空を飛ぶのも全部ノアの仕業だが。

 お化け屋敷の列の余興を兼ね、空から全体を見る。という名目でさせられている。フレイヤの案らしい。

 しかしルイのお店の方までは遠目でしか見られない。

 微笑みを保つ王子の風に翻る外套に女生徒達の歓声が上がる。

「会いたいな。ルイ。今すぐ。」

 誰にも聞こえない呟き。

 遠目にルイを探す。あ、絶対あそこだ。

 一番人垣が出来ているその中心。

 …蹴散らしてやりたい。

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