第11話 フレイヤとノア 3

 やっと下僕になれたのは嬉しい、けど何だかルイの事ばかり頼まれるのが面白くない。

 面倒臭い。

 フレイヤもテオもルイ、ルイって。

 フレイヤが頼むから見張ってたのに叩かれるし。

 しゅにかかってるって言ったら何か皆怒ってた。

 それなら見捨てれば良いのに。

 勝手にかかって、解けないなんて。

 あんなのかかる方が間抜けなのに。

 壊れるまで見てた方が、面白かったかな。

 壊しちゃえば良かったかな。


 しゅを解きたいから協力しろってテオが。

 ディランには貸しを盾に取られた。

 何で皆ルイの為にそんなに一生懸命なんだ。

 面白くない。フレイヤからも頼まれた。

 フレイヤに言われたら絶対だ。

 面白くなくてもやらなきゃ。

 言霊の主を壊しちゃえばって言ったら駄目って言われた。

 本当に面白くない。

 万一の時は国を、なんて、絶対嫌だ。


 護符を作る。言霊を向けられても耐えられるように。

 強い思い出、大事な思い出、そういうものをよすがにする。

 何かあるかと聞いたら、小さな紙切れを持ってきたから笑ってしまった。

 一言しか書いてない。名前もない。騙されてないかと心配になる。

 大事な手紙だって怒ってた。

 仕方ないからそれを使った。

 あとは大事な人の何か。

 テオが会議室にルイを呼び出してリボンを貰ってた。

 テオが大事でもルイはどうなんだ。

 嫌いって言ったのに踊ったりして。

 遊ばれてるんじゃないのか?

 心配だって言ったら睨まれた。

 何であんなのが良いんだろう?

 フレイヤのがずっと綺麗なのに。

 フレイヤと結婚すれば良いのに。


 ルイを追い返したテオが皆に責められてる。

 そうだよ、あんなの放っておけば良いんだ。

 なのに、フレイヤはルイを追いかけて行ってしまった。

 呼ばれた。行かなきゃ。

 ルイを止めてって、何で?

 勝手にさせれば良いのに。

 建物を駆け上がり、屋根の上を跳んで行くルイを風で巻き取る。

 ルイは言霊に操られて捕まえても無理矢理動こうとする。

 あんまり動くと折れちゃうよ。良いけど。

 気付いたフレイヤが当て落とした。面白くない。

 少し痛い目見れば良いのに。


 テオは無事戻ってきた。

 護符のお陰だと、礼を言われた。

 礼を言うなんて珍しい。

 助かった、だって。ちょっと嬉しい。


 ますます面倒な事になった。

 テオがルイにくっついていたいから代わりをやれって。

 面倒、凄く面倒。

 テオの振りをしていたら、ルイに話しかけられた。

 話すとバレそうで嫌だ。

 ディランに聞いたら一位になるまで話しかけるなって言えって言われた。

 それ良い。

 さすが先生!

 ついでにテオを弄ぶなって言ってやろう。

 嫌いって言ったのに手紙をやったり、楽しそうに踊ったり、だからテオが諦めないんだ。

 こんなに面倒なの、ルイの所為だ。


 フレイヤはルイとの試合に悩んでる。

 そんなの普通に勝てば良いのに。

 勝つと困るみたい。

 わざと負けるのも嫌なんだって。


「フレイヤぁ、戦おうぅ」

 フレイヤが悩まず戦えるようにした。


 フレイヤに捨てられるところだった。

 下僕じゃない、って。

 泣いて謝ったけど許してくれなくて。

 庇ってくれたのはルイだった。

 ルイの笑顔を初めてちゃんと見た。

 優しく背中をさすってくれた。

 悔しいな、敵わない。

 自分は非道かったのに。

 フレイヤが、テオが大事にするのが解ってしまった。


 フレイヤが、フレイヤが褒めて撫でてくれた。

 フレイヤ優しい!大好き!

 でも狡い、自分だけどんどん大好きになる。

 フレイヤは自分を置いてルイを追いかけて行ってしまった。


 ルイに教えてやろう。

 テオじゃないって。

 我ながら親切。

 ルイ吃驚びっくりしてた。


 後で何故かフレイヤに怒られた。

 頬っぺたがひりひりする。


 ディランがテオの変身薬を取りに来る。

 その時に頼まれた。

 次は半分の時間しか効かないように。って。

「そろそろ潮時でしょう。」

 ディランは微笑う。悪魔だ。


 また王子の役。でもまあいいや。

 きっと今日で最後。

 テオが戻ったからもう良いよね。

 ルイがこっち見てるから手を振った。

 あれ?何か怒ってる?


 ルイが真っ赤だ。面白いなぁ。

 テオについに捕まっちゃった。

 テオが嬉しそうだ。

 良いなぁ、自分もフレイヤに会いに行こう。

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