九月十八日

「ずるいぞ、お前」

同じバースの反対側に移動した直後、兄……弓哉の開口一番は羨望と悲しみの入り混じった文句だった。

「ごめんって」

頭をかきながら謝ると弓哉はわざとらしく唇を尖らせるが、全くもって可愛くはない。なんて言ったって、もう寿命がすぐそこまで来ているジジイなのだ。

「駄目。もうそこのコンビニでアイスとポテチ買って来ないと許さない」

「八つ当たりだー」

バッチリと目が合いお互いに笑い合えば、いつから居たのか【みやじま】がトントンと俺の肩を叩く。

「もう一緒に行きなよ。俺、唐揚げがいいなー」

「なんでだよ」

「こういう時だけ101掃ぶるな」

今度は【みやじま】を交え、三人で笑う。勿論、コンビニには宮仁も連れて行く。弓哉とがっちり両脇を固めてやれば【みやじま】は不服そうな顔をする。

「俺らじゃどの唐揚げがいいか分かんないから宮仁も行くぞ」


風が心地よい昼下がり、寿命は残すところあと二週間。この兄と最期まで笑っていようと思った。


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