一月十九日 高知新港

 今年の冬は暖かくて、寒くて辛いといったことは無かったが、昨日降った雨のせいで今朝は少し寒かった。山の方では雪が降ったようで、頭が少し白くなっている。

「南国でも雪降るんだなー」

そんな事を言いながら前を見れば大きくアーチを描いた橋が見える。ここ数日、学生や体験航海の参加者を乗せて何度もくぐった浦戸大橋だ。普段とは違う角度から見る橋は、新鮮に感じるらしくなかなかに好評だ。

「すごいなー!」

弾んだ幼い声が聞こえる。

「海がキラキラしちょるよ」

振り返れば子供が目を輝かせながら母親と海を見ていた。その無邪気な姿がなによりもうれしい。

「帰ったら弓哉に教えてやろう」

 

二十年と少し。俺達が守ってきた海を喜んでくれる人がいる。

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