第5話 泣き

葛城ユキさんが亡くなられましたね。

ご冥福をお祈りします。


不謹慎ですが、特にディープなファンというわけではないです。


チャゲアスのアスカが作詞したのと、チャゲアスの過去のアルバムで聴いたことがあるくらいでした。


葛城ユキさんが車いすで舞台に立ち、病魔に苦しめられても歌い続けたその姿に胸打たれました。


最近の僕の話になってしまいますが、酷い暑さと、相変わらずのストーカー連中、未来に希望が持てず、正直、自分を消したい、死にたいなと薄らぼんやり考えることが多くなっていました。


アミューズメント施設で、短期間の仕事も始まったのですが、休養に入る前と同じ症状が出てきてしまい、もうなんか小説も人生もどうでもいいかな、と自暴自棄になりかけていました。


そんな中、葛城ユキさんの歌う姿を見て、なぜか涙が出てしまいました。


余命も宣告されていたのではないか、すごく痛い思いもしたのではないか、死への恐怖に歌という武器で戦った姿が、朝のスケジュール根詰まりのようなニュース番組で数分流れた程度でしたが、自分の弱さをひしと感じました。


しかし、ある歌手の奮闘の姿を観ても、僕の気持ちは刹那的にただ入れ替わっただけで、勤め先のいっときの換気みたいに、つい先程もこの現実に抗うことに嫌気がさしていました。


何で生まれてきたのか。

こんなくだらなくて、辛いことが多い世界に。


社会復帰したって薄給で、待っているのは他人とのどんぐりの背比べです。


そんなことでマウントを取って勝った気でいる。負けた気でいる。

悩む。苦しむ。


もう沢山です。


でも葛城ユキさんの姿に涙したのは確かです。

赤の他人でファンを名乗るには程度が低すぎですが、葛城ユキさんありがとうございました。

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